6.慢性的 (Chronic) vs. 破滅的 (Catastrophic)
概要
別な言い方をすると、時間的・空間的に分散しているリスクと集中しているリスクの違いがあります。一般的に、人々は慢性的なリスクよりも大惨事を心配しやすいです。
例:
例1: 喫煙のリスク
米国では毎年350,000人が喫煙によって死亡していますが、これが「毎年11月13日にシカゴで350,000人が死亡する」という形で起きた場合、人々はタバコをすぐに禁止するでしょう。しかし、タバコによる死亡は1年間にわたって全米で分散して起きているため、あまり気づかれることなく受け入れられているのです。
例2: 発電方法の比較(仮定の話)
発電方法の比較をしてみましょう。太陽光発電では、全国で太陽光発電に関わる作業、例えば太陽光パネルを設置したり撤去したりする作業で、年間50人が死亡する確率があるとします。一方で、他の発電方法では、全国のどこかの発電所で10年間のうちに1回、5000人が死亡する事故が10%の確率で起こるとします。リスク評価としてはどちらも「予想年間死亡率」は年間50人で同じですが、2つ目の案が受け入れられるとは思えません。これは大惨事を避けたいという価値観が強いためです。
対応法
リスク評価の際には、急性期(短期)で起こることや最悪シナリオを重要視することが求められます。可能性が低いけれど大きな被害が出るリスクは、量的なリスク評価以上に重要視し、被害の大きさを可能な限り小さくし、被害について注目し真摯に向き合うことが重要です。
まとめ
慢性的なリスクよりも、大惨事のリスクに対する対応が重要です。リスク評価においては、短期で起こる最悪シナリオを考慮し、被害を最小限にする努力が求められます。