学問と出会い

私は薬学部出身で薬剤師免許も持っていますが、これまでに、「薬」に直接関わる職に就いたことはありません。大学1〜2年の頃は漠然と薬剤師になるのかな、と思っていましたが、3年生の半ばに有機合成化学の研究室に配属されてからはその面白さのとりこになり、大学院(修士、博士)を経て、それがそのまま仕事になっていました(図に示したような新しい反応を開発することを目的に研究を行ってきました。この反応では、一回の反応で一挙に五員環が得られます)。高校生の時には化学が特に好きなわけではなく、有機化学はどちらかといえば嫌いでしたが、研究室に入って、その考えは180度変わりました。良い師に出会えるかどうかも、その学問に対する印象を大きく左右するものだと思います。

薬学部に入った時は、自分が将来、有機化学の研究者となり、マサチューセッツ工科大学化学科(MIT)に留学したりするとは、夢にも思いませんでした。思ったより面白い人生になっていると、今のところ考えています。

有機合成化学の新しい反応を示す図。反応経路と生成物の構造が描かれている。

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