そのテストは何のため?
- 講師
- 久保田 恵佑
- くぼた けいすけ
- 言語テスティング、英語教育学
テストといえば、定期試験、予備校模試、高校入試、大学入試、就職試験、資格試験など様々ありますが、皆さんテストは好きでしょうか。私の場合は、テスト自体は自分の力を試している感覚があり好きな方でしたが、その反面、結果(合否や点数)には一喜一憂し、つらいなあと思う側面もありました。
では、テストは何のために受けるのでしょうか。資格のため、自分の力を測るため、勉強のやる気を促すため、成績のため(仕方なく…)、受けた方が良いと言われたため、等々、ポジティブな理由からネガティブな理由まで様々あるのではないでしょうか。私自身、これらの理由はすべて心当たりがあります。
上記のような、テストが学習などに与える影響を波及効果 (washback effect) といいます。テストの波及効果をより望ましいものにするために、テスティングの観点から過去の自分に伝えられることがあるとすれば、テストには「自身の強みや弱み、得意や不得意を発見できる側面がある」ということです。テストが自分の力を診断してくれるわけです。テストを受けるとその点数など(表面的な)結果にのみ注意がいきがちですが、自分が解答した問題や結果の詳細、教員やテスト機関からのフィードバックに目を向けてみると、得意な面をさらに伸ばせるポイントや、不得意な部分を解消する足掛かりを発見できて、自身の更なる成長につなげることができる可能性があります。過去の私も、このことを意識していれば、もっと身のある学習を積み重ねられたのではないかなあ、とふと思うこともあります。
テストの波及効果を望ましいものにするためには様々な要因があり、一概に言い切ることは難しいのですが、まずは個人の観点からテストを考え直してみることを勧めたいと思います。「テストを受けて終わり!」というスタンスではなく、「テストを受けてその結果からまた学びを始める!」というスタンスでテストに臨んでみてください。
まずはその手始めとして、「そのテストは何のため?」と自問自答してみてはいかがでしょうか。