「好き嫌い」からの連想
- 教授
- 本多 創史
- ほんだ そうし
- 思想史
私は、食べ物の好き嫌いがほとんどありません。子どもの頃の躾もありますが、大人になってから、何でも食べておかないと人生を損してしまうと考えるようになったことが大きいです。
学生の頃、エジプトの某航空会社の偉い人に日本語を教えるという変わったアルバイトをしていました。日本語のレッスンが終わると、必ずエジプトの家庭?料理が振舞われます。…細かく刻んだモロヘイヤを冷凍して固め、それをたっぷりの油で揚げたもの、歯がかけてしまうのではと思うほど固くて真っ黒の米料理、付け合わせに出される玉ねぎの四つ切(しかも生!)など、はじめのうちは目を白黒させながら口に運んだものです。ですが、不思議なことに、4,5回もすると慣れて来て、やがてそれらの食べ物の魅力を自分なりに理解できるようになりました。
初見のものや苦手なものを、私たちはつい避けてしまいがちですが、そこは度胸で乗り越えて、その意外な魅力を知ることができれば、こんなに楽しいことはありません。そうして、色々なものの魅力を知っていればいるほど、人生は豊かになると言えましょう。
食べ物に限らず、勉強も運動も、そして音楽や絵画、映画なども、みな同じではないでしょうか。未知のものを知り、知識や感性の幅を広げるために、選り好みせず、何に対しても挑戦してみることが大事です。
これから入学してくる受験生のみなさん。私の講義は、最初はとっつきにくく、難解に感じるかもしれません。しかし、ちょっと我慢して、じっくり聞いてみてください。そのうち、「物事の見方はこんなにもいろいろなのか、ふむふむ、なかなか面白いではないか」と思う日が来るはずです。