勉強は楽しいもの?

この文章を読んでくださっているあなたは、高校生あるいは受験生ですか。もしそうなら、お尋ねしたいことがあります。「毎日の勉強は楽しいですか。」「受験勉強は楽しいですか。」

ところで、正直に白状しますが、私自身は勉強とは苦しいものだと思っています。大学教員にとっての「勉強」とは、研究対象について調べ、関連資料を読み、考え、まとめ…という作業の繰り返しですが、研究対象を絞り込むことも生半可なことではありませんし、大量の文献を集め、それを片端から読むのも実に骨が折れます。自分なりに考えをまとめて文章の形にするのはもっと大変です。そんなわけで、勉強とは苦しいものだというのが偽らざる実感で、時折、「勉強が楽しい」などと言う人に出会うと、思わずいぶかしんでしまうのです。とは言え、挫けずに「勉強」を続けていると、それまでモヤモヤしていてよくわからなかったことが明確にわかるようになる時が来て、そのような時には確かに喜びを感じます。ただ、それも一時のこと。新たな研究対象が出て来て、再び、苦しみが始まります。

演劇には必ず長い前段があり、それなくしては、クライマックス・シーンでの感動もないでしょう。いま、苦しい思いをしながら勉強を続けている皆さん。いまは長い前段だと思って、淡々と勉強に励んでください。報われたと実感できる日は必ず来ますから。ただ、大学に入れば、それまでとは違う勉強が始まって、それはそれで苦しい思いをすることになるでしょうけれど。

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