仕事始めの式

仕事始めの式 理事長あいさつ(令和8年1月5日)

 みなさん、明けましておめでとうございます。
 2026年の仕事始めにあたり、ご挨拶申し上げます。

 今年は東日本大震災から十五年という区切りの年であります。この十五年は、福島の復興のため、そして福島県立医科大学をさらなる高みへと発展させるための苦難と変革の連続であったことは皆さんも認めるところと思います。その間には 多くの仲間が加わり、また、去っていきましたが、その積み重ねの上に、今の本学があります。その時その時の誰もが同じ志を抱き、一丸となって尽力してくださった結果、長い時を経て、それらの努力の成果が輪郭を現し始めました。
 一例として、原発事故後休止していた県立大野病院の後継医療機関を本学の附属病院として整備・開院することについて、構想段階から基本設計へと着実にフェーズが進んでいます。双葉地域の医療復興の象徴として住民が安心して生活するための中核施設となるよう、本学もしっかり準備を進めていきたいと思います。
 また、2016年6月から稼働を始めたサイクロトロンを活用し開始された、アスタチンを用いた放射線内用療法の研究も、ついに前立腺がん治療候補薬のヒトへの投与、治験が始まります。いよいよ長年にわたる研究の成果を患者さんに提供できる可能性が高まってきました。
 さらに、大学院保健科学研究科博士後期課程の設置に向けた準備も本格化します。2021年に保健科学部を、2025年の春には大学院保健科学研究科保健科学専攻修士課程を開設。今回、この課程が整備されれば、3学部全てに博士後期課程が揃うこととなります。次代を担う高度な医療人材を育成する基盤が、また一段と強固なものとなります。

 これらのいずれもが、震災後、福島の復興を支えるために、そして教育・研究・診療・県民の健康の見守りという本学の使命をより高い水準で遂行するために立ち上げたミッションです。それらの実現に向けて、今日に至るまで、多くの教職員が地道に時間をかけ、知力を絞って繰り返し挑戦してきた結果、徐々に、しかし確実にその成果が形になり始めてきたのです。これまでの皆さんの尽力に心より御礼申し上げます。

 このように多くの取組の成果が輪郭を表し、一見するとゴールが近いように感じるかもしれません。しかし、私はあえて申し上げます。ゴールが近づいたのではなく、新たなスタートラインに立ったのです。むしろ、このタイミングは、私たちに次なる新たなビジョンが求められている時だと意識してください。
 見えてきたゴールの先に何が新たに求められるのか、次なるビジョンが必要です。もちろん、附属病院の再整備や医師の働き方改革といったことも思い浮かびます。ただ、それらはクリアしなければならない課題であってビジョンではありません。ビジョンとは今はまだ存在しない未来像です。そしてミッションはその未来像を作り上げるためになすべきことです。

 今となっては知る人は少ないでしょうが、本学の復興構想は、震災直後のごく短期間に国や県に提示することが出来ました。だからこそ多くのことが他に先駆けて予算化され、いち早く取り組むことが出来たのです。なぜ予期せぬ 未曽有の複合災害を経験したにも関わらず迅速に復興構想をまとめられたのか。
 実は、我々には 震災前から描いていた「三十年後の福島医大の在り方」というビジョンがそもそもあったからなのです。
 本学は 災害の有無などに関係なく、常にそのようなビジョンを懐に持っていたのです。進むべき未来が明確であったからこそ、私たちは嵐の中でも迷わずに歩みを進めることができたのです。そのビジョンに基づいて練られた復興構想の一端が具体的に輪郭を見せ始めた今、私たちは、また次のビジョンを描くタイミングを迎えています。

 「今」をより良くするために必要なのは課題解決のための思考と行動です。
 それは非常に重要なことで、これまで何度も課題解決力の大切さについて、このような場でメッセージを発してきました。ただ、今は「次も」考えなければならないタイミングに来ています。次を考える時に必要なのは、今、目の前にある課題は何かを考えるのではなく「こうだったらいいのに」「こういうことができたらいいのに」という発想力と独創力です。
 クリアすべき個々の課題に捉われることなく、より良い教育、より良い研究、より良い診療、より良い県民の見守り方、そしてより良い福島県のために、これからこんなことが出来たらいいのに、というひとりひとりの思いや夢を、組織として体系化する作業に今年は取り組んでほしいと思います。

 本学には、逆境を力に変えてきた輝かしい歴史があります。どうか、目の前の業務に埋没することなく、常にその先にある「夢」を語ってください 。皆さんが描く独創的なビジョンこそが、次世代の福島医大を創り、福島の未来を照らす光となります 。
 皆さんひとりひとりの取組は様々でも、私は皆さんに一貫したメッセージを発信してきました。
「ピンチを チャンスに」
「変化を 進化へ」
「レジリエンス と アライアンス」
 これからも このメッセージは変わりません。
 さらなる高みへと発展していこうとする全ての教職員の皆さんの思いを新たなビジョンへと形作ることこそが、この福島県立医科大学、そして 皆さん自身をも何にも、誰にも代えがたい存在にしてくれることと信じています。
 皆さんの限りのない発想力と独創力に期待しています。
 皆さんの活躍を心から祈念いたします。

令和8年1月5日
公立大学法人福島県立医科大学
理事長兼学長 竹之下 誠一

事務担当 : 総務課(大学管理係)

電話 (024) 547-1111(代)
FAX (024) 547-1995
Eメール somu@fmu.ac.jp
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