大学院 学位記授与式 (卒業式)

大学院学位記授与式 学長式辞  (令和8年9月30日)

大学院の学位記授与式の様子
大学院の学位記授与式で、卒業生が学位を授与される瞬間を捉えた写真。
大学院の学位記授与式でスピーチをする鈴木学長と、参加者たちの様子。

 本日ここに学位を授与された、医学研究科博士課程15名、看護学研究科博士前期課程2名、計17名の皆さん、誠におめでとうございます。福島県立医科大学のすべての教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。また、今日まで皆さんを支えてこられたご家族、指導教員をはじめとする関係者の皆様にも、深い敬意と感謝を申し上げます。

 皆さんが本日手にした学位は、長い時間をかけて一つの問いに向き合い、試行錯誤を重ね、その成果を学術の言葉で社会に示した証です。しかし、学位は研究の終着点ではありません。むしろ、自ら問いを立て、その答えに責任を持つ者としての出発点です。学位記には、これまでの努力への評価と同時に、これから皆さんが果たすべき役割への期待が込められています。

 医学、看護学、保健医療を取り巻く環境は、いま大きく変化しています。人口減少と高齢化、医療人材の偏在、急速に進歩する人工知能やデジタル技術、そして新たな感染症や災害への備え。私たちの前にある課題は、既存の専門分野だけでは解決できないものばかりです。だからこそ、専門性を深めるだけでなく、異なる領域、異なる立場、異なる世代の人々と知恵を持ち寄る力が求められます。

 本学は、東日本大震災と原子力災害を経験した福島の地で、医療と研究を通して地域と向き合ってきました。そこから私たちが学んだのは、科学的に正しい答えを示すだけでは、人の不安や社会の課題は解決しないということです。確かな知を生み出し、それを分かりやすく伝え、現場の声を受け止め、さらに新しい知へとつなげていく。この循環があって初めて、研究は人を支える力になります。

 私は、大学の未来を考える上で「共創と知の循環」を大切にしています。共創とは、単に多くの人が集まることではありません。それぞれが異なる知識や経験を持ち寄り、互いの違いを力に変え、一人では到達できない答えをつくることです。そして知の循環とは、大学で生まれた知を社会へ届け、社会から得た問いを再び教育と研究へ戻すことです。皆さんには、その循環を動かす担い手になっていただきたいと思います。

 そのために、皆さんに一つお願いがあります。それは、学位を得た後も「問いを手放さない」ことです。忙しい臨床や実務の中では、目の前の仕事を滞りなく終えることが優先され、立ち止まって考える時間は失われがちです。しかし、「本当にこれが最善なのか」「見過ごされている声はないか」「別の方法はないか」という問いこそが、医療を前に進めます。正解を知っている人よりも、必要な問いを立て続けられる人が、次の時代を切り拓きます。

 研究では、思うような結果が出ないこともあります。臨床や教育の現場では、努力がすぐに報われないこともあります。それでも、失敗を結論にせず、次の問いに変えてください。自分の専門に誇りを持ちながら、専門の境界を越えることを恐れないでください。そして、得られた知を自分の中だけにとどめず、患者さん、地域、次の世代へと手渡してください。皆さんの知が誰かの問いと出会ったとき、そこから新しい価値が生まれます。

 皆さんが、本学で培った探究心と倫理観を胸に、それぞれの場所で信頼される専門家として歩み、社会に希望をもたらす存在となることを心から願っています。

 問いを持ち続け、知をつなぎ、未来を拓いてください。

 皆さんのこれからのご活躍を期待し、お祝いの言葉といたします。

令和8年9月30日
公立大学法人福島県立医科大学
理事長兼学長 鈴木 弘行

事務担当 : 教育研修支援課

学生総務係: 電話024-547-1972
FAX 024-547-1984
Eメール gakuseik@fmu.ac.jp
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