大学院 学位記授与式 (卒業式)

大学院学位記授与式 学長式辞  (令和7年9月30日)

大学院の学位記授与式で、卒業生が学位を授与される瞬間を捉えた写真。
大学院の学位記授与式でスピーチをする竹之下学長と華やかな花が飾られたテーブルの様子。
大学院の学位記授与式でスピーチをする竹之下学長と、参加者たちがの様子。

 本日ここに学位を授与された、医学研究科 博士課程26名、看護学研究科 博士前期課程 1名、計27名の皆さん、福島県立医科大学のすべての教職員を代表して、心からお祝いを申し上げます。あわせて、本日の学位記授与式を迎えるまで、ご家族および関係者の皆様よりいただいた数々の多大なご支援に対しても、厚く御礼を申し上げます。

 さて、皆さんの大学院での学びは、新型コロナウイルスのパンデミックも下火になった頃に始まったと思います。パンデミックの最中だった学部学生時代の学びとの差をどのように感じたでしょうか?大きな違いは、現場に出ることが出来るかどうか、ではなかったでしょうか。皆さんが専門とする医療や看護、保健は一人で学ぶことは不可能です。なぜなら、患者さんや住民の方々など、学びの対象となる人と接点を持つことでしか学びを深めることができない学問だからです。コロナの影響で実習も制限され、現場で学ぶことが出来なかった経験を少なからず持つ皆さんは、現場に出て人とコミュニケーションを図ることが学びに重要かつ不可欠だと実感できたのではないかと思います。

 今日を境に皆さんはより多くの時間をその現場で過ごすことになります。現場は多様性に溢れています。人が複数いれば必ず何らかの差異や違和感が生じるのは当然のことです。そして、中にはとても受け入れられないようなこともありますが、それらとも共存をしていかなくてはなりません。ストレスが溜まり、多様性というのはとても厄介で面倒なものと感じる人も多いでしょう。しかし、現場が多様であるからこそ、私たちは必然的に学びを応用することを求められ、深い思考を求められ、そのおかげで実力を付けてきたのです。そしてその思考の量は、そのまま仕事の質に比例します。

 大切なことはその多様な現場の中で何を考えるのか、です。それは単刀直入に言えば、他との「違い」だけでなく、他と「何が同じか」をも考えることです。多様性を考えるというと、皆、人と何が違うか、とか、このデータとあのデータの違いは何か、など「違い」についてあれこれと考えがちです。それが間違っているわけではありません。しかし、「違い」ばかりを強く意識すると、分断や対立しか生まず、人と人の距離を広げてしまいます。その結果、コミュニケーションが断絶したのでは、学びを応用したり、思考を深めたりすることは出来ず、現場に身を置く価値や意味がなくなってしまいます。多様な現場の中で相互の違いを明らかにしながらも、同時に互いの共通点は何かについても思いが及ぶしなやかさを持つこと。その力があってこそ、現場から最大の学びを得ることができるのです。

 差別化が進み社会の分断が問題視される現在、相互の違い、すなわちひとりひとりの個性を認め、尊重することは大切です。そしてさらに、それに加えて、相互に何が同じなのかを考え、見出し、それを共有し共感を醸成していくしなやかさが、特に組織のリーダーには不可欠になってくるでしょう。今後、皆さんは現場に出てリーダーとして活躍することを期待される人材です。現場に出て多様性に向き合う時、違いを強調し、人との距離を広げるのではなく、違いを認めながらも相互の共通項を考え、人同士をつなぐことを意識して、これからの医療や看護、保健の現場を牽引してください。

Embrace lifelong learning with resilience and grace.
「しなやかに学び続けよ」

です。

それぞれの分野での皆さんの活躍を期待しています。

 

令和7年9月30日 
公立大学法人福島県立医科大学
理事長兼学長 竹之下誠一

事務担当 : 教育研修支援課

学生総務係: 電話024-547-1972
FAX 024-547-1984
Eメール gakuseik@fmu.ac.jp
※スパムメール防止のため一部全角表記しています

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