
- 島津 勇三 (しまづ・ゆうぞう)
- 医学部 放射線健康管理学講座 大学院生(博士課程)
- 研究グループ
- 島津勇三、小橋友理江、坪倉正治(放射線健康管理学講座)
井元清哉(東京大学医科学研究所 ヒトゲノム解析センター、健康医療インテリジェンス分野 センター長、教授)
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(令和4年8月31日オンライン)
医療従事者は、知識や技術だけでなく他職種と協働する能力を身に付ける必要があります。近年、医師には社会情勢や価値観の多様化に伴い医師は病院内だけでなく、病院外の社会でも幅広い役割を担うことが求められています。そのために若手医師は、充実した卒後教育を受け、生涯に渡って活躍するための基盤を築くために学習することが必要です。一方、研修医のスキル習得に必要な時間については、世界的に明確な見解が得られていないのが現状です。
2016年12月に日本では、10万人の医師を対象に労働条件や働き方の意向に関する調査が実施されました。本研究は、2016年に実施された医師の働き方調査の二次データ分析です。調査対象は、3,126施設、15,677人の医師から回答がありました。回答率はそれぞれ15.7%、26.0%でした。
その結果分析の結果、1週間に60時間以上働いている医師は、男性898人(8.4%)、女性190人(6.0%)でした。また配偶者が医師である医師の割合は、男性31.4%、女性61.7%(p<0.001)、常勤勤務の臨床医の割合は、男性85.7%、女性30.0%(p<0.001)でした。単変量解析では、女性の労働時間は出産・育児経験(p<0.001,95%CI -10.3~-8.4,「なし」を基準)および専門医資格(p<0.001,95%CI -3.5~-1.4,「なし」を基準)に影響されました。多変量解析では、医師の労働時間は、性別(係数,-7.4,95%CI -8.3~-6.5,「男性」を基準)、出産・育児(係数,-2.2,95%CI -2.9~-1.4, 「所持」を基準)、専門医資格(係数-4.0,95%CI -5.0~-3.0, 「所持」を基準)とも関連していました。
結論として、医師の労働時間は過大でした。また、年齢、性別、診療科、子供、専門医資格の有無は労働時間の長さと関連がありました。加えて、女性医師の労働時間は、男性医師よりも出産・育児経験や診療科の影響を強く受けていました。男性医師も女性医師も仕事に出産・育児をうまく取り入れることができるシステムが構築される必要があると考えられます。
連絡先
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