福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「JAMA Network Open」掲載(令和4年9月9日オンライン)(2022-09-14)

US Food and Drug Administration Accelerated Approval Program for Non-Oncology Drug Indications Between 1992 and 2018

非がん治療薬に対する米国FDAの迅速承認プログラム:1992年から2018年までの包括的レビュー

大前 憲史 (おおまえ・けんじ)
附属病院 臨床研究教育推進部 副部長・特任准教授
        
研究グループ
大前憲史(福島県立医科大学附属病院 臨床研究教育推進部)
大西輝(京都大学大学院 医学研究科 リウマチ性疾患先進医療学講座)
Ethan Sahker(京都大学大学院 医学研究科 医学教育・国際化推進センター 国際化推進部門)
古川壽亮(京都大学大学院 医学研究科 健康増進・行動学分野)

概要

論文掲載雑誌:「JAMA Network Open」(令和4年9月9日オンライン)


 米国 FDA による迅速承認プログラムでは代替エンドポイントで医薬品が承認される。代替エンドポイントは必ずしも臨床的有効性を反映するとは限らず、製造業者は承認時に臨床的有効性と安全性を確認するための承認後試験を期限内に実施するよう義務づけられる。 しかし、がん治療薬ではこの義務が適切に履行されておらず、問題視されてきた。他方、がん治療薬以外の適応症ではこの実態すら明らかにされていない。そこで、1992年 6 月から 2018年 5 月に迅速承認された、がん治療関連を除いた全ての適応症を対象に、特に、 ①通常承認への移行、②承認後の枠組み警告の追加、③承認後確認試験の完了、④確認試験結果の論文出版に着目し、本プログラムが適切に実施・運用されてきたのか包括的評価を行った。その結果、本プログラムにより非がん治療薬の承認は中央値で約4.5年短縮された可能性があるが、承認後安全性に関わる添付文書の改訂がしばしば行われ、臨床的有効性の確認されない場合もあることが判明した。これらの結果を踏まえ、迅速承認を受けた非がん治療薬の利益と害は暫定的なものであり、その包括的な評価には10年以上かかり得ることを我々は認識しておく必要がある。本研究成果は、米国のみならず、日本の今後の新薬開発や関連する制度設計を行う上で非常に重要な根拠となることが期待される。


連絡先

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