- 鷲山 幸信 (わしやま・こうしん)
- 先端臨床研究センター 准教授
- 髙橋 和弘(たかはし・かずひろ)
- 先端臨床研究センター 教授
- 研究グループ
- 越後拓亮,三代憲司,宗兼将之,淵上剛志,鷲山幸信,高橋和弘,北村陽二,若林大志,絹谷清剛,小川数馬
概要
論文掲載雑誌:「European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging」(令和5年10月11日)
金沢大学新学術創成研究機構の小川数馬教授,三代憲司准教授,大学院医薬保健学総合研究科薬学専攻/次世代精鋭人材創発プロジェクト選抜学生(博士課程2年)の越後拓亮,医薬保健研究域薬学系の淵上剛志准教授,宗兼将之助教,福島県立医科大学の高橋和弘教授,鷲山幸信准教授らの共同研究グループは,At-211によるがんの標的α線治療の効果増大を目指したアルブミン結合部位含有ラジオセラノスティクス用薬剤の開発に成功しました。
ラジオセラノスティクスとは,がんの核医学診断・核医学治療を一体化して行う手法で,ラジオセラノスティクス用薬剤は,標識する放射性核種を診断・治療用で変更することで,核医学診断にも核医学治療にも用いることのできる薬剤のことを指します。核医学治療に用いられるα線は高い細胞傷害性を持ち,飛程が短いことから,α線放出核種をがん細胞に選択的に送達することができれば,少ない副作用で高い治療効果を得ることができます。特に211Atは,国内での製造方法が確立している唯一のα線放出核種であり,近年,臨床応用に向けた211At標識薬剤の開発が盛んに行われています。しかしながら,我々の開発してきた211At標識化合物は,腫瘍への集積が不十分であることや,腫瘍からの消失の速さが課題となっていました。
今回,本研究グループでは,211Atによる標的α線治療の効果増大を目指し,血中アルブミンに高親和性のアルブミン結合部位を導入した,ラジオセラノスティクス用薬剤の開発に成功しました。マウスでの実験の結果,本薬剤は,がんへの高い集積・保持を示し,がんの増殖抑制効果を示しました。本研究をさらに発展させることにより,標的α線治療のさらなる効果増大につながることが期待されます。
(鷲山 幸信)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 先端臨床研究センター 准教授 鷲山幸信
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