福島県立医科大学 研究成果情報

英国雑誌「Humanities and Social Sciences Communications」掲載(令和5年8月26日オンライン)(2024-01-15)

Public opinion in Japanese newspaper readers’ posts under the prolonged COVID-19 infection spread 2019-2021: contents analysis using Latent Dirichlet Allocation

新聞の読者投稿欄から見たコロナ禍における世論の変化

春日 秀朗 (かすが・ひであき)
衛生学・予防医学講座 助教
        
研究グループ
春日秀朗・遠藤翔太・増石有佑・日高友郎・各務竹康・福島哲仁

概要

論文掲載雑誌「Humanities and Social Sciences Communications」(令和5年8月26日)


 「人々が何をどのように考え、発信しているのか」という情報(世論)は、国民が何を求めており、どのような施策や援助が必要なのかを知るための、公衆衛生的に重要な資料です。本研究は、COVID-19の感染拡大を受けて発令された第1次~第4次の緊急事態宣言期間中にどのような世論がみられたのか、新聞の読者投稿欄を分析することでSNSとは異なる視点から捉えることを目的としました。
 読者投稿欄からは、大きく分けて「コロナ禍の生活」、「緊急事態であるという意識」、「COVID-19に関する政策」という3つのトピックスが抽出されました。各トピックスについて言及される頻度を第1次~第4次緊急事態宣言で比較したところ、「コロナ禍の生活」と「COVID-19に関する政策」については増減がなかったのに対し、「緊急事態であるという意識」については減少していました。コロナ禍が長期化するにつれて「コロナ疲れ」という言葉がみられるようになりましたが、COVID-19への関心が薄れたという訳ではなく、当事者であり続けることへの疲れだったのかもしれません。
 加えて本研究では、新聞の読者投稿欄からは長期的に安定して見られる、日常的(daily)なトピックが抽出されました。近年の研究では世論を捉えるためにSNSを用いることが多いですが、SNSは話題が急性的(acute)であるという特徴や、非利用者が漏れてしまうという課題があります。緊急事態という困難な状況においては、新聞やSNSなど多様な手段で世論を把握し、短期的・長期的両方の視点から施策を行うことが重要です。

(春日 秀朗)


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