福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「Medicine」掲載(4月号)(2019-06-10)

Unhealthy changes in eating habits cause acute onset hypertension in the normotensive community-dwelling elderly—3 years cohort study

正常血圧の地域住民において、食生活の急激な悪化が高血圧の急な発症を引き起こす-3年間のコホート研究より

各務 竹康 (かかむ・たけやす)
医学部 衛生学・予防医学講座 准教授
        
研究グループ
各務竹康1)、日高友郎1)、熊谷智広1)、増石有佑1)、春日秀朗1)、遠藤翔太1)、佐藤勢1)、武田晶子2)、小泉誠2)、
福島哲仁1)
1) 福島県立医科大学衛生学・予防医学講座
2) 福島県国民健康保険団体連合会

概要

論文掲載雑誌:「Medicine」


福島県の国民健康保険に加入し、2013年度から2015年度までの3年間連続して特定健康診査を受診した92,279人のうち、循環器疾患の既往がなく、かつ2013年度、2014年度と連続して健康診断における血圧が正常血圧の基準である130/85mmHg未満であった24,490人(男性8,431人、女性16,059人)を対象として分析を行った。対象者の平均年齢は61.5(標準偏差8.2)歳であった。

新規高血圧発症は2015年度の健康診査にて収縮期血圧140mmHg または/もしくは 拡張期血圧90mmHg以上となった人とし、その人数は1062人(4.3%)であった。新規高血圧発症と2013年度から2014年度にかけての生活習慣の悪化について多変量解析を行った結果、「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある」の質問が「いいえ」から「はい」に変化した人は変化しなかった人に対して2015年度に新規に高血圧を発症するリスク比が、1.27(95%信頼区間1.01-1.58)と有意に高い結果となった。

血圧が基準内である期間中に「就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上となる」という生活習慣の変化が、翌年に新規に高血圧を発症させることが示唆された。夕食時間が遅くなることは、労働時間の増加や変化、家族の介護など、日常生活の大きな変化が背景にある可能性があり、単に生活習慣の改善を指示するのではなく、その背景要因まで丁寧に把握して対策を考えることが重要である。血圧が正常である者に対しても健康診査の結果を確認する際には検査値のみでなく生活習慣の変化にも目を配り、適切な保健指導を行うことで、高血圧の新規発症を未然に防ぐ可能性を示した。


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