- 浄土 英一 (じょうど・えいいち)
- 医学部 システム神経科学講座 准教授
- 研究グループ
- 浄土英一、永福智志(福島県立医科大学医学部システム神経科学講座)
矢部博興(福島県立医科大学医学部神経精神科学講座)
那波宏之、成原格、外山英和、北山栄子、難波寿明(新潟大学脳研究所)
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(5月号)
炎症性サイトカインの一種である上皮細胞成長因子(EGF)を新生児期に投与された動物は、成熟後(思春期以降)に精神病様の認知行動異常を発現させることが知られている。本研究は、統合失調症で一貫した電位振幅低下が報告されているmismatch negativity (MMN)という、刺激の属性変化特異的に出現する事象関連脳電位成分を新生児期EGF投与ラットで記録し、統合失調症におけるMMN異常と同様の異常が認められるのかを検証したものである。新生児期に生理食塩水を投与されたラットでは逸脱音に対してヒトと同様の性質を有する明瞭なMMNが記録されたが、EGF投与ラットでは顕著なMMN振幅の低下が認められた(図1)。Wavelet変換を用いた時間周波数解析の結果、EGF投与ラットにおけるMMN振幅の低下は、主にβおよびγ帯域の位相同期性低下(図2,3)によるものであることを明らかにした。脳波β、γ帯域における同期性異常は統合失調症でも報告されている。以上の結果から、新生児期EGF投与ラットは統合失調症の有望な発達障害モデル動物になりうることが示唆された。
(https://doi.org/10.1038/s41598-019-43923-y)
図1
図2
図3
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