福島県立医科大学 研究成果情報

2013年度 三井住友海上福祉財団賞 〔平成25年11月受賞〕(2013-11-19)

“Leisure activities and cognitive function in elderly community-dwelling  individuals in Japan: A 5-year prospective cohort study”

邦題「地域高齢者における余暇活動と認知機能の関連:5年間の追跡研究

岩佐  一 (いわさ・はじめ )
福島県立医科大学医学部 公衆衛生学講座 講師
        

今回の受賞について

【 三井住友海上福祉財団賞 】
三井住友海上福祉財団賞は、公益財団法人三井住友海上福祉財団(東京都千代田区)が「交通安全等」と「高齢者福祉」の2部門において、特に若手研究者によ るもの、現場からの実際的なもの、あるいは2つの部門で社会への啓発・普及に 多大な貢献が期待されるものなど、優れた著作と論文に対し授与するものであり、 本年度、「高齢者福祉部門」において公衆衛生学講座の岩佐一講師が受賞しまし た。
授賞式は11月19日住友会館(東京都)にて行われ、同日に記念講演が行われました。(下記写真)
〔関連サイト〕
三井住友海上福祉財団 HP (http://www.ms-ins.com/welfare/)
/ 受賞関連ページ

概要

認知症はいちど発症してしまうと根治することが難しいのが現状です。
それゆえ、認知症を予防すること(認知症予防)に関心が集まっています。

欧米では、読書やパズルなどの余暇活動を積極的に行う高齢者は、認知症の発症リスクが低いことが報告されています。
これらの知見は、日本における「生きがい型」認知症予防(厚生労働省:「認知症予防・支援マニュアル」) の科学的根拠とされています。
しかしながら、欧米と日本では、高齢者のライフスタイルが異なっており、欧米の知見をそのまま日本の認知症予防に適用することは適切ではないと考えられます。

我々は、日本の都市部にお住まいの高齢者を対象として、余暇活動(趣味、社会参加、運動習慣)と認知機能低下の関連について5年間の追跡研究を行いました。その結果、趣味を行う高齢者は認知機能が低下しにくいことが分かりました。
本知見は、余暇活動を行う高齢者は日常生活において認知機能が賦活される程度が大きいために認知機能が維持されやすいことを示唆しています。今後の日本における「生きがい型」認知症予防の推進に寄与する基礎資料たりうる点が評価され、受賞に至りました。

(岩佐 一)
※ 写真は贈呈式記念講演時の模様


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座
電話 024-547-1180 / FAX 024-547-1183
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/home/public_h/index.htm
講座代表メールアドレス public-h@fmu.ac.jp