福島県立医科大学 研究成果情報

第2回 石田名香雄記念「北斗医学賞」 受賞 〔平成24年9月受賞〕(2012-10-17)

「 聴覚障害を引き起こすサイトメガロウイルス感染   : モデルマウスを用いた解析 」

生田 和史 (いくた・かずふみ)
福島県立医科大学
医学部 微生物学講座 助教
        

今回の受賞について

【 「北斗医学賞」とは 】
石田名香雄記念「北斗医学賞」とは、 センダイウイルスや制癌剤ネオカルチノスタチンの発見等で世界的に著名な東北地方の研究者である、故 石田名香雄 博士(財団法人仙台微生物研究所 前理事長) の功績を記念して創設された賞です。医学研究、特に微生物学・免疫学・腫瘍学・公衆衛生学等の分野で卓越した業績を挙げ、今後もこの分野の研究を推進する若手研究者を顕彰するものです。日本細菌学会東北支部会で演題発表を行った50歳以下の若手研究者を対象としており、平成23年度から実施されています。

第2回目となる今年度の受賞は9月13日に報道発表され、本学微生物学講座の生田氏が選ばれました。
10月5日、仙台市のホテルで授与式が行われました。

〔関連サイト〕
財団法人 仙台微生物研究所 (http://www.senmax.net/senbiken/)
日本細菌学会 (http://www.nacos.com/jsbac/)

概要

「聴覚障害を引き起こすサイトメガロウイルス感染 : モデルマウスを用いた解析」

サイトメガロウイルス(CMV) は健康成人の7割近くに 不顕性感染 している、ごくありふれたウイルスです。 しかし妊娠中に初めてCMVに感染すると、ウイルスは高率に胎児へ感染し先天性CMV感染となります。 先天性CMV感染は出産300例に1例程度の頻度で起こり、そのうち約30%では出生時に精神発達遅延や小頭症などの異常が認められます。 日本人における聴覚障害の約15%は先天性CMV感染によることが知られていますが、ウイルスによる聴覚障害がどのような機序で起こるのか分かっていません。 本研究では、マウスCMV(MCMV) を用いて疾患モデルマウスを作成しました。 生後24時間以内のマウスへのMCMV脳内接種を行い、本学耳鼻咽喉科との共同研究により詳細な検討を行いました。その結果、接種3週後では1/3に片側難聴、1/3に両側難聴をきたし、6週までにはほぼ全例に両側難聴が認められました。またウイルス抗原は接種1週後で螺旋神経節や外リンパ領域に認められることが分かりました。 本モデルマウスを用いた解析により、ウイルスが引き起こす聴覚障害の機序解明が期待されます。  

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 微生物学講座
電話 024-547-1158 / FAX 024-548-5072
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/cms/microbio/index.html