看護の現場チーム医療

Nursing scene

多職種で患者さんを支える「チーム医療」

質の高いチーム医療の実現には、それぞれの専門職が多職種連携の本質を理解した上で、日々の業務に当たる必要があります。その中でも患者さんの身近な存在である看護師の役割はとても重要です。

栄養サポートチーム(NST)

NSTとはNutritionSupportTeam(栄養サポートチーム)の略です。栄養状態が悪いと、治療効果が悪くなり、感染症や合併症を起こし、治療してもなかなか回復できません。
患者さんを良くするためにはどうすればよいか?という視点から多職種でチームを組み、各職種が専門的な視点で的確な情報を提供、意見交換をすることで患者さんに最もふさわしい方法で栄養状態を良好に保つ事を目的とするチームです。

緩和ケアチーム

緩和ケアは、病名や病気の時期に関わらず、どのような時にもつらさに対して行われるケアです。緩和ケアチームは、患者さんとご家族が抱えている身体やお気持ちのつらさを早期に緩和することを支援するチームです。
通常行われている治療やケアでの対応が難しい場合に、主治医や担当看護師と協働し、その人らしい日常生活が送れるように支援しています。患者さんやご家族のニーズに対応するため、医師、看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士、医療ソーシャルワーカーなどの多職種で構成されており、週1回チームカンファレンスを行っています。

院内急変対応システム(RRS)

院内急変対応システム(Rapid Response System:RRS)は、院内発生の心肺停止症例は、その数時間前にバイタルサインの変調などの予兆があるとされることから、変調に気づいた時点で専門チームの出動を要請し、心肺停止等の有害事象を未然に回避することを目指しています。当院では2015年から運用が開始され、医師1名、看護師1名が持ち回り形式で平日日勤当番制となっており、院内においてRRSが徐々に認知され、全部署に活動の範囲が広がっています。
私たちチームは「患者をいかに急変させないか」をモットーに日々活動に携わっています。この活動は、早期の介入が患者さんの予後改善に寄与するだけでなく、患者さんのご家族や私たち医療従事者側の負担の軽減にもつながると考えています。今後もより多くの方にRRSの活動内容を理解していただき、本システムを有効活用していただくことが課題です。

補助人工心臓(VAD)チーム

植込型補助人工心臓(VAD)は、心臓移植適応の重症心不全患者が、自宅で移植待機をするための治療です。生命維持装置を付けながら日常生活を送るために、患者さんやご家族は機器管理、体調管理、創部管理、トラブル時の対処など多くのことを習得しなければなりません。
心臓移植のその日まで、安全・安心にその人らしく過ごせるよう、所属や職種を超えた様々な医療者がチーム医療を提供しています。2週間に1回のカンファランスでは、患者さんの目標や価値観を最も尊重し、倫理的な視点で多職種が議論を交わしています。
チームにおける看護師の役割は、術前~在宅までの各段階に応じた生活全般の支援・指導や、患者さん・ご家族の思いを引き出す意思決定支援、精神的サポート、創部管理、さらに、チームの連絡調整や人と人を繋ぐコーディネーター的役割など多岐に渡ります。
看護師は、患者を中心としたチーム医療の歯車を円滑に回すための重要な役割を担っているといえます。

褥瘡対策チーム

褥瘡(床ずれ)ができやすい状況の患者さん、褥瘡がある患者さんに対し、予防と重症化の防止、早期治癒を図ることを目的として褥瘡対策チームが活動しています。チームは定期的に病棟を見回り、多職種の分野から専門的な立場でアドバイスを行い、より良い医療の提供につなげています。
患者さんと一番身近に接している看護師は、褥瘡の発生要因を考慮して皮膚の観察を行い、体位変換や姿勢調整、スキンケア等についてカンファレンスを行っています。褥瘡の治癒のためには栄養状態も大きく影響するため、適宜、栄養サポートチーム、リハビリテーションスタッフ等へ相談、連携してケアにあたっています。

呼吸ケアチーム(RCT)

呼吸ケアチーム(RCT)は、人工呼吸器管理などについて十分な経験のある医師、人工呼吸器管理や呼吸ケアの経験を有する看護師、人工呼吸器などの保守点検の経験を3年以上有する臨床工学技士、呼吸器リハビリテーションなどの経験を5年以上有する理学療法士によって構成されています。
チームとして週一回病床を巡回し、安全に人工呼吸管理が行われているかを確認しながら、人工呼吸器を付けている患者さんのために呼吸ケアチームの計画書を作成し、安全管理、合併症予防、人工呼吸器からの離脱計画、呼吸器リハビリテーションなどを推進するための活動を行っています。