リュージュ(龍樹)の伝言

第22回:日英プライマリ・ケア交換留学プログラム

2013/04/07

日本プライマリ・ケア連合学会(JPCA)では、英国家庭医学会(RCGP)と連携して、「日英両国の家庭医療後期研修医または家庭医療専門医取得5年以内の医師を対象に交換留学の機会を提供し、国際的知見およびネットワークの構築を通して、両国プライマリ・ケアのさらなる発展に寄与する人材を育成する」ことを目的に「日本プライマリ・ケア連合学会・英国家庭医学会 日英プライマリ・ケア交換留学プログラム」を創設した。

 

 このプログラムの本格運用を前に、私が委員長をしているJPCAの国際キャリア支援委員会とRCGPの若手医国際委員会(Junior International Committee: JIC)とが協力して、本年6月末までにパイロット事業を展開することになった。今回は、英国側から英国GP研修医(Associate in Training)または英国家庭医療専門医資格(MRCGP)取得後5年以内のGP(First5)5名を招いて、国際キャリア支援委員会メンバーが所属する5つの家庭医療後期研修プログラム(北海道家庭医療学センター、福島県立医科大学、揖斐郡北西部地域医療センター、三重大学、飯塚病院・頴田病院)で2週間程度受け入れる。

 

 パイロット事業なので、今後の本格運用に必要な交換留学のためのマニュアルを作成したり、運営方法などの課題について評価を行って両学会へ報告したりもするが、まずは英国からの若手GPの訪問を受け入れることがとても楽しみだ。JPCAとRCGPのフォーマルな交流事業が始まることの意義も大きい。

 

 今回パイロット事業を行う期間を今春6月までに設定したのは、本年5月にJPCAの第4回学術大会が開催されるからである。この機会を利用して、英国若手GPを仙台に招待し、学術大会に参加してもらい、英国プライマリ・ケアに関するポスター発表をする機会も作る予定である。

 

 現在RCGPのJICでは来日する英国GPの選考を進めているが、かなり人気が高いため希望者が多くて選考に苦労しているそうである。嬉しいことだ。来日メンバーが決まり、学術大会でのポスター発表のスケジュールがわかり次第、学会のホームページなどでもアナウンスしたい。この機会に多くの日本の学生・研修医・若手家庭医・総合診療医が英国GPと交流して、これからのキャリア形成に生かしてほしい。

 

 さらに、仙台の第4回学術大会では、5月18日(土)午前9時~12時にシンポジウム3『世界のプライマリ・ケアを担う医師のキャリア形成プロセスとアウトカム』を開催する。これは、第3回学術大会のメインシンポジウム『英国の家庭医療制度を知り日本の家庭医療の未来を模索する』に続くグローバル・スタンダードのプライマリ・ケアを学ぶ企画で、今回は、国際キャリア支援委員会としての企画だ。

 

 世界の医学生・若手医師が、どのようにしてプライマリ・ケアに興味を持ち、どのようにしてプライマリ・ケアを担う専門医になるキャリアを選択するのか。プライマリ・ケアの専門研修では、どのように能力が開発され、専門医はどのレベルまで到達できるのか。医学生、研修中の医師、プライマリ・ケア専門医は、プライマリ・ケアを専門とするキャリアあるいはプライマリ・ケアそのものをどのように評価しているか。

 

 このような問題に焦点を当てて、ケーススタディも含めた多面的な調査結果を英国、オランダ、台湾、米国(ハワイ)から招聘する若手シンポジストから発表してもらい、討論により理解を深める。ぜひこちらも楽しみにしていてほしい。なお、5月20日(月)には、東京医科歯科大学の会場をお借りしてサテライト・ワークショップも開催予定である。



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