専門研修プログラム

プログラムディレクターのメッセージ

新しい時代を迎える 福島医大の総合診療医・家庭医育成

 地域・家庭医療学講座は2007年に葛西龍樹教授が着任して以降、日本プライマリ・ケア連合学会 家庭医療専門研修プログラムを運営し30人以上の研修修了者を輩出してきました。私は2008年に当講座に所属し、家庭医療専門研修プログラム、大学院医学研究科博士課程で学び、家庭医としての基盤を身につけた一人です。当講座の特徴はやはり日本最大級の研修プログラムの規模でしょう。20人をこえる個性豊かで教育熱心な指導医たち、福島県全域に広がる研修フィールド、この環境に集まってくる専攻医の仲間、研修に協力をしてくださる診療スタッフや地域住民のみなさん。15年以上の積み重ねが専門研修の充実を支えてくれています。
 特に指導医層は厚く・熱く「家庭医療学」を日々の臨床現場で実践しています。「家庭医療学」という名前からは診療所医療が想像されやすいですが、家庭医療学は診療所・病院を問わずどのような診療環境であっても活用できる実践的な学問であり、病院の総合診療医として働く上でもとても役立つ理論です。家庭医療学をしっかり学ぶことは、将来の総合診療医としての診療の充実に必ず結びつくでしょう。
 そして2021年、福島県立医科大学は「総合診療医センター」を設置し、卒前教育から卒後教育まで継続した総合診療医育成事業に着手しました。地域・家庭医療学講座はその中心の一つとして総合診療専門研修プログラムを運用し、総合内科など他部局と連携して研修での相互乗り入れ、合同でのファカルティ・ディベロップメント企画などの事業を推進していきます。2022年、当研修プログラム責任者は葛西から菅家に交代し、これからの福島の総合診療・家庭医療をつくる新たなステージへ踏み出します。こんなわたしたちと一緒に総合診療、家庭医療学を学んでみませんか。ご連絡をお待ちしています!

プログラムディレクターのメッセージ

専門研修プログラム責任者
地域・家庭医療学講座 講師
菅家 智史

家庭医が関わるのは人間

Ian R. McWhinney
 家庭医が関わるのは、特定の知識体系や疾患群や特殊な技術ではなく、人間です。その関わりは2つの意味で制限がありません。
第1に、それは健康問題の種類によって制限されません。家庭医は、性別や年齢に関係なく、その人に起こるどのような健康問題にも対応します。家庭医の診療は狭義の健康問題に限られることもありません。患者が問題を定義するのです。これは、家庭医が「申し訳ありませんが、あなたの病気は私の専門外です」と決して言うことができない、ということを意味します。私たちの患者一人ひとりに起こるどんな健康問題も、私たちの専門領域内にあるのです。専門的治療のために患者を紹介しなくてはならないこともありますが、その場合でも、私たちは初期評価、そしてケアの調整と継続性に対して責任を負っているのです。第2に、その関わりには終点と定義されるものがありません。それは、1つの病気の治癒、1つの治療コースの終了によって、あるいは1つの病気が治癒しないことによっても終わるわけではありません。多くの場合、その関わりはその人が健康な時から、すなわちどんな問題が生じるより前に始まっています。言い換えれば、家庭医療学は人間関係によって自らを定義しており、そのことが、臨床医学の主要な領域の中で家庭医療学を他に類のないものとしているのです。

プログラムの概要

福島県立医科大学は、全国の大学に先駆けて地域・家庭医療部(2006年)、地域・家庭医療学講座(2010年)を設立し、地域を基盤とした家庭医育成プログラムを創出しました。プライマリ・ケアの現場での診療・教育・研究を展開するため、他大学とは異なり大学病院内に診療拠点はなく、県内6ヶ所の地域に存在する医療機関へ当講座のスタッフを派遣して、医学生、初期研修医、専攻医の臨床教育を行ってきた10年以上の実績があります。

福島県立医科大学では、総合診療専門研修(新専門医制度)と新・家庭医療専門研修(日本プライマリ・ケア連合学会認定)を並行して履修することが可能です。

研修プログラムは、このよく機能するネットワークをさらに質・量ともに拡大し、福島県庁の後援も受けつつ、県内の他専門研修プログラムとも連携して「オール福島で家庭医・総合診療専門医を育成する」専門研修プログラム・コンソーシアムを構築していることが大きな特徴です。県内ほぼ全域の地域に広がる公的・民間の垣根を越えた医療機関の協力により、専攻医の志向性に合わせて多彩な臨床現場での研修を積むことができる特色を持っています。

本プログラムは、初期臨床研修修了者、またはそれに準ずる研修を経て、総合診療/家庭医療専門研修を希望する医師が対象です。2018年度の新専門医制度開始に合わせて研修期間を4年間に延長し、総合診療専門医/家庭医療専門医として診療するために必要な知識・技術・能力を身に付けるための研修を提供します。

研修スケジュール例

4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3
1年目 施設 研修協力病院
領域 総合診療II(病院総合診療)
2年目 施設 研修協力病院 研修協力病院
領域 小児科 救急 整形外科(選択) 漢方(選択)
3年目 施設 研修協力病院
領域 内科
4年目 施設 研修協力診療所
領域 総診Ⅰ(診療所)

本プログラムは、福島県内各地の医療機関を研修拠点にしています。研修場所として、都市部・農村部・へき地など地理的条件や、無床・有床診療所、中小病院など、様々なセッティングを選択可能です。研修医療機関の選択は、研修する医師の希望を重視し、各医療機関で提供できる研修内容を考えて講座のスタッフがコーディネートします。

研修協力医療機関(2023年時点)

研修協力病院 研修協力診療所
かしま病院
大原綜合病院
白河厚生総合病院
南相馬市立総合病院
公立相馬総合病院
公立藤田総合病院
福島赤十字病院
医療生協わたり病院
星総合病院
太田西ノ内病院
寿泉堂綜合病院
地域医療推進機構二本松病院
公立岩瀬病院
白河厚生総合病院
いわき市医療センター
福島県立医科大学附属会津医療センター
北福島医療センター
竹田綜合病院
会津中央病院
福島県立南会津病院
保原中央クリニック
喜多方市地域・家庭医療センター
ほし横塚クリニック
只見町国民健康保険朝日診療所

本プログラムでは、各拠点の指導医はもちろん、個性豊かな指導医が専攻医のニーズに合わせ研修をサポートします。月例の専攻医向け勉強会(Family Medicine Resident Forum)、毎週開催されるインターネットを介したカンファレンスや勉強会、他研修プログラムとの合同勉強会、海外ゲストを招いての特別フォーラムなど、学ぶ機会が数多く提供されます。4年間の研修では、総合診療専門医試験/家庭医療専門医試験の受験支援も行います(提出ポートフォリオ作成支援、独自作成の模擬試験など)。

研修修了後の進路

研修終了後も当講座の指導医として専攻医の指導や各診療拠点の運営に関わることが可能です。また当講座の大学教員として医学生や初期研修医の教育に関わること、大学院博士課程に進学し研究について学ぶことも可能です。

フェローシップ・大学院

専門研修終了後、更にキャリアアップを目指すことも可能です。他プログラムで専門研修を修了した方も対象となります。

病院総合医フェローシップ
かしま病院(いわき市)などで、病院総合医として外来、病棟、集中治療、救急診療に従事するために必要な知識・能力を身につけるフェローシップです。
大学院博士課程
家庭医療の現場で感じる疑問をリサーチにつなげることを目指し、福島県立医科大学大学院医学研究科 博士課程(4年間)で研究の基礎を学ぶことが可能です。当講座では量的研究・質的研究両者に取り組んでおり、臨床現場からの研究だけでなく教育研究にも取り組んでいます。

福島でこそ学べる家庭医療があります。ご応募お待ちしております。


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