「Science」は愉しいもの
- 准教授
- 有吉 健太郎
- ありよし けんたろう
- 放射線生物学
私が学部生の頃から所属していた研究室には、度々海外から研究者が訪れていました。その都度、学生はほぼ全員、一人ずつ英語で自分のデータを発表する義務がありました。普段、先生方を前に日本語の発表すら緊張するのに、英語で発表…。前日までに何とかスライドと原稿を書き、本番当日、ガチガチに緊張しながら発表していたことをよく覚えています。しかし、そうした発表も、度々繰り返しているうちに不思議と慣れてくるもので(海外の先生方がどなたも優しく接してくれたお陰です)、院生にもなってくると、初歩的ながらも少しは議論ができるようになっていきました。
以前、私のメッセージの中で「Science」の魅力の一つとして“未知の部分に関し、新しく得られた実験結果の前では、皆等しく対等な立場で議論することができる”と書きましたが、こうした感覚は、ガチガチの緊張からスタートし、「伝える」そして「議論する」ことによって覚えた愉しさが故です。
つい先日、放射線生物学の重鎮であるProf. MothersillとProf. Seymurの訪問を受けました。彼らは30年ほど前に細胞培地を介して伝わる「バイスタンダー効果」を発見した方々であり、私が学生の頃から意識していた憧れの研究者たちです。数年前に、「俺のデータを見てくれ!」と私から押しかけるような形で始まったfriendshipですが、そこからさまざまな形でお世話になりつつ、共に研究を進めています。
今回彼らの訪問中、懲りずにまた「俺のデータを見てくれ!」とデータを紹介しましたが、同じ事柄に興味を持つ研究者同士、議論を行う中で「Science」は国籍や年齢も性別も関係ない、改めて愉しいものだと感じました。
