大学院修士課程が始まります

本学保健科学部の大学院修士課程が、この4月からスタートします。特に第1期生は、先輩がいないため、大学院での生活を具体的にイメージするのが難しいかもしれません。

私が若かりし頃、研究室に配属されたときのことを思い返してみると、新しい世界に足を踏み入れた高揚感を覚えています。実験に打ち込む先輩たち、机に向かって論文を読む先輩たちの姿を見て、「ここで自分も研究に没頭するのだ」と期待に胸を膨らませたものです。私は、当時10歳年上の助教の先生(後に名古屋大学の教授となられた方)に、実験の基礎や論理的思考について学びました。得られたデータについて議論を交わす時間は刺激的で、時には生意気にも「先生、その解釈は違うのでは?」などと意見することもありました。当時の私は実験が楽しくて仕方なく、研究室に13時間以上入り浸っていたこともあります。(※念のために申し添えますが、現在の学生の皆さんにこれを強要するつもりはありません。)

理学部の学生というのは、あまり先のことを深く考えず、純粋に研究の面白さに魅せられることが多いのでしょうか。私自身もその一人で、修士課程から博士課程へと進学しました。今になって思えば、進学を認めてくれた両親には感謝しかありません。自分が親になった今、当時の両親の気持ちを想像すると、内心では不安もあっただろうと思います。

一方で、国家資格を持って進学する保健科学部の皆さんは、病院勤務に限らず、企業へと就職する道も広がっています。そのため、将来についてより柔軟な視点を持つことができるのではないでしょうか。ただ、修士課程はわずか2年間。その間に就職活動も並行しなければならず、研究に没頭できる時間は意外と限られています。

企業の採用担当者に話を聞くと、大学院生の研究内容や成果そのものよりも、「どのような姿勢で研究に取り組んできたか」を重視するという声をよく耳にします。これは、どの分野に進むにしても、大学院での経験が大きな糧となることを示しています。また、挑戦的なテーマに取り組めるのは、大学院ならではの醍醐味です。限られた時間の中で、ぜひ自分自身の可能性を最大限に引き出してほしいと思います。

研究の世界は、自らの問いに向き合い、挑戦し続けることによって広がっていきます。新たなステージへと踏み出す皆さんが、それぞれの道で充実した研究生活を送れることを心から願っています。

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