教養を身につけるとは??

私が女子高校に入学したときのことですが、校長先生の言葉が今でも記憶に残っています。それは、教養を身につけてください、その教養とは他の人間の立場に立って考えられるようなことです、というような主旨だったと思います。当時私は、女子学生に向けたメッセージらしいな、くらいにしか思っていませんでした。が、高校を卒業してウン十年も経ってから、このメッセージの重要性を実感しています。これは最近よく聞く言葉、エンパシーempathyに置き換えられると思います。他人に共感したり同情したりする感情を示すシンパシーsympathyに比べ、エンパシーは他人の感情や経験などを理解する能力をさすのだそうです。一つ例を挙げるなら、何かプレゼンをする際には、聴衆はどんな人達が多いのか、何を聞きたいのか?と考えて準備しなければならないなと思っています。今やインターネットを見れば、いろいろな知識を簡単に得ることが出来る便利な時代になってきたけれども、このエンパシーとやらは知識をただ受け入れるだけではなく、常に想像したり考えたりしないと身につかないものだと思います。臨床検査分野では多くの医学的知識を学ばないといけないのは事実ですが、患者さんに対してだけではなく、チーム医療その他いろいろな場面でエンパシーは必要になると思われます。大学がこのような教養を身につける場にもなってくれれば、と思います。

メッセージ一覧

ページの先頭へ戻る