論文題名 | SNAP-23 regulates phagosome formation and maturation in macrophages |
SNAP-23はファゴソームの形成・成熟に機能する | |
著 者 | 櫻井千恵、橋本仁志、中西秀樹、荒井斉祐、和田洋、和田戈虹、 和田郁夫、初沢清隆 |
雑誌名 | Mol Biol Cell |
発行日 | 2012年12月15日 |
巻(号)、ページ | 23(24):4849-63 |
要 旨 | |
マクロファージなどの食細胞に見られるファゴサイトーシス(貪食)は、病原微生物などをファゴソーム(食胞)に取り込み、殺菌・分解する生体防御反応の一つである。ファゴソームはエンドソームやライソゾームなどの細胞内小器官(オルガネラ)と融合を繰り返し成熟する。ファゴソームの形成や成熟は複雑な膜融合によって進行するが、その分子機構はよくわかっていない。そこsで、膜融合に機能するSNAREタンパク質で、マクロファージ細胞膜に局在するSNAP-23の機能解析を行い、ファゴソームの形成や成熟の分子機構を明らかにすることを目的に研究を行った。 その結果、①SNAP-23の過剰発現はファゴソームの形成と成熟を亢進した。また、②SNAP-23の発現抑制細胞では、ファゴソームの形成・成熟の両過程が阻害された。①と②から、SNAP-23はファゴサイトーシスにおけるファゴソームの形成および成熟に機能すると考えられた。次に、③実際にファゴソーム膜上でSNAP-23が機能しているかを調べるためFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)解析を行ったところ、SNAREタンパク質であるVAMP7を過剰発現した場合にFRETシグナルの増加が見られた。このことから、SNAP-23はファゴソーム膜上で膜融合に伴う構造変化を起こしていること、つまり、実際に機能していることが示唆された。 以上より、SNAP-23は膜融合装置としてファゴサイトーシスに機能することが明らかとなった。 |