福島県立医科大学 研究成果情報

平成24年度 日本衛生学会 最優秀論文賞 〔平成25年3月受賞〕(2013-03-30)

「An assessment of radiation doses at an educational institution 57.8 km away from the Fukushima Daiichi nuclear power plant 1 month after the nuclear accident」

辻 雅善 (つじ・まさよし)
福島県立医科大学医学部 衛生学・予防医学講座 助手
        

今回の受賞について

【 日本衛生学会 】
日本衛生学会は、日本医学会の一部会として明治35年「衛生学・細菌学・伝染病学」との連合の形として始まり、その後、1949年(昭和24年)より「日本衛生学会」と名称を変え、現在に至っています。
環境保健と予防医学という衛生学の二つの大きな分野を柱としており、人間・環境・健康の包括的理解を目指しています。会員数は2000人余りで、医学のみならず他の関連分野と連携した活動を行っています。

【 最優秀論文賞 】
日本衛生学会の学術誌である「Environmental Health and Preventive Medicine」および「日本衛生学雑誌」に掲載された論文の中から、最も優秀であると認められた原著論文を、その年の「最優秀論文賞」とし表彰されます。

〔関連サイト〕
日本衛生学会 HP (http://www.nihon-eisei.org/)
最優秀論文賞 関連ページ

概要

研究論文の学術的レベルの高さと発展性、さらには世界の研究者や社会に与える影響の大きさ について編集委員会と学会員から高い評価を受けて、この度の受賞に至りました。

本研究の概要を紹介します。
福島第一原子力発電所事故により、福島県内に大量の放射性物質が飛来したことが予想されました。そのため、教育の場においても安全確保が急務となり、そのリスクアセスメントを行うことを目的とし、放射線の推定積算量の算出を試みました
研究を通して、原発事故後1ヶ月の段階において、空間放射線量率は屋内より屋外の方が高く、屋外においては地表面に近づくほど高いことがわかりました。また、空間放射線量率は、アスファルト・土より芝の方が高く、地表の性状により空間放射線量率が異なることもわかりました。測定結果から、算出式を使った1日の被曝線量の計算を可能にしました。

以上から、ほとんどの測定地点で国の基準を下回っており、教育の場の安全性を科学的に示すことができましたが、今後、測定を継続し、その推移を見守っていくことが重要であると考えます。

(辻 雅善)
※ 写真は受賞時の模様


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 衛生学・予防医学講座
電話 024-547-1175 / FAX 024-547-1174
講座ページ http://www.fmu.ac.jp/home/hygiene/
〔受賞論文 関連ページ http://www.fmu.ac.jp/home/hygiene/award2013_tsuji.html
講座代表メールアドレス hygi@fmu.ac.jp