福島県立医科大学 研究成果情報

レクチン経路の認識分子・フィコリンを欠損したマウスは肺炎球菌感染にかかり易い(2012-12-15)

論文題名 Mice deficient in ficolin, a lectin complement pathway recognition molecule, are susceptible to Streptococcus pneumoniae infection.
レクチン経路の認識分子・フィコリンを欠損したマウスは肺炎球菌感染にかかり易い
著  者 遠藤雄一、高橋実、岩城大輔、石田由美、中澤なおみ、兒玉利尚、松坂友裕、菅野和子、Yu Liu、土屋晃介、河村伊久雄、伊川正人、和栗聡、和田郁夫、松下操、Wilhelm J.Schwaeble、藤田禎三
雑誌名 J Immunol
発行日 2012年12月15日
巻(号)、ページ 189巻(12号)、5860-5866頁
要   旨
マンノース結合レクチン (MBL)とフィコリン (ficolin) は、MBL結合セリンプロテアーゼ (MASPs) と複合体を形成し、自然免疫系のなかで可溶性パターン認識分子として働いている。MBLが感染防御に働くことを示す報告は多いが、フィコリンの働きについては依然明らかでない。本研究ではフィコリンの生理的役割を明らかにすることを目的として、フィコリン欠損マウスを作製しその表現型を解析した。三種類の欠損マウス(フィコリンA欠損マウスfcna-/-、フィコリンB欠損マウスfcnb-/-、およびフィコリンA/Bダブル欠損マウスfcna-/-b-/- )のうち、fcna-/-fcna-/-b-/-では、血清中にフィコリンA-MASPs複合体が存在しないためフィコリン依存性レクチン経路の補体活性化能は低値であった。フィコリンによって認識されMBLによって認識されない肺炎球菌を一株選び、これをマウスに径鼻感染させて生体防御能力を評価した。その結果、野生型マウスと比較して三種類のフィコリン欠損マウスすべてにおいて生存率の低下が認められた。フィコリンA cDNAを組み込んだプラスミドを尾静脈より投与してマウス体内でフィコリンAを発現させ、血液中のフィコリンA依存性レクチン経路を一過性に再構築した。このマウスを用いて同様の感染実験を行なった結果、fcna-/-では生存率の改善がみられた。しかし、fcna-/-b-/-では改善がみられなかった。これらの結果は、フィコリンAとフィコリンBの両者が、肺炎球菌に対して補体レクチン経路を介して感染防御に働くことを示唆している。