福島県立医科大学 研究成果情報

(社)日本油化学会 「2009年オレオマテリアル賞」東北初の受賞(2009-08-04)

「高度なESR技法を用いた脂質構造とダイナミクスの研究」

定性的な解析法であったESRを応用した、新しい解析方法の検討と提案により 皮膚科学関連分野の研究に画期的な進歩をもたらしました。

中川 公一
福島県立医科大学 医学部附属放射性同位元素研究施設 (R I ) 学内講師 (助教)

ESRとは、Electron Spin Resonance (電子スピン共鳴)の略称で、不対電子を持つ原子・分子・化合物を測定する分光法で、フリーラジカル (活性酸素など) を測定する優れた分光法です。

表彰団体と今回の受賞について

【(社)日本油化学会 】
 「社団法人 日本油化学会」は、油脂・油脂製品・石油製品・石油化学工業製品・界面活性剤・脂質・脂質に関連するタンパク質および糖質等の科学と技術の進歩を図り、産業の発展と国民生活の向上に寄与することを目的として活動する、1951(昭26) 年発足の団体です。
会員数は法人会員約160法人、個人会員 約1,800名を超える組織で、油化学関連産業に大きく貢献し、発展してきました。

【 オレオマテリアル賞 】
日本油化学会の組織下には、専門部会として「オレオマテリアル部会」、「界面科学部会」、「洗浄・洗剤部会」、「オレオライフサイエンス部会」、「油脂産業技術部会」があり、オレオマテリアル部会は、その中でも「ものづくり」にこだわって活動している専門部会です。
日本油化学会では、研究の奨励および研究業績の表彰を目的として、学会賞・工業技術賞・進歩賞をはじめ、研究内容等に応じて各種の賞を授与しています。  「オレオマテリアル賞」は、2006(平18)年に部会独自に創設した賞で、新材料創製に関する技術開発・研究開発および環境問題等において、優れた業績をあげたオレオマテリアル部会員を表彰するものです。
「オレオマテリアル賞」は、直近の3年間に次の功績をあげた研究者を対象に表彰されています。
1.学術誌に掲載された筆頭著者あるいは責任著者となっている論文
2.公開された特許
3.発売された新しい技術開発・研究開発に基づく新商品。

中川氏は上記「1」及び「2」に該当する、学術論文と特許を有する研究者として、今回の「2009年オレオマテリアル賞」受賞者となりました。オレオマテリアル部会の活動分野においては、主に企業の研究所や機関に所属する研究者が功績をあげるケースが多い中、中川氏は大学の研究者としては2人目、東北の研究者としては初の受賞となります。

今回の受賞記念として、中川氏は、9月10日~12日名古屋工業大学で開催される日本油化学会年会第48回年会における、オレオマテリアルシンポジウムのオレオマテリアル賞授賞式後に、オレオマテリアル賞受賞講演をし、さらに次年度に発行される「オレオサイエンス誌」に総説論文が掲載されます。

 

受賞内容および受賞理由の概要

特許 「高度なESR技法を用いた脂質構造とダイナミクスの研究」
これまで信号強度などの定性的な解析に用いられていたESRを、油化学やコロイド界面化学的現象の定量解析へ応用すべく研究し、脂質二重膜とスピンプローブの膜モデルを初めて提案した。
この最新のESRテクニックや新しいシミュレーション解析方法を用いることにより解析感度・精度を大幅に上げることができた。これをヒト皮膚角層脂質研究に応用することで、角層脂質の深さ方向での構造依存性を初めて明らかにするなど、皮膚科学関連分野での画期的な進歩を成した。

「2009年オレオマテリアル賞に関するお知らせ」 より引用)

ESR (電子スピン共鳴・Electron Spin Resonance) 「ウィキペディア (Wikipedia) : フリー百科事典」

受賞者の略歴

秋田県秋田市 出身
1985(昭60)年 ウエストバージニア大学 大学院理学研究科物理化学修士課程 修了
1988(昭63)年 ボストン大学 大学院理学研究科物理化学博士課程 修了
1989(平元)年- 1990(平2)年 ノースウエスタン大学 ポストドク
1990(平 2)年- 1992(平4)年 デンバー大学 ポストドク
1992(平 4)年-  福島県立医科大学    現在に至る

【 取得学位 】
Ph.D. (ボストン大学大学院)
M.S.(理学修士) (1985 ウエストバージニア大学大学院)

研究分野

物理化学、 生物物理・化学物理、 生物物理学、 分析化学、 医用生体工学・生体材料学、 機能・物性・材料

関連リンク

【 学内関連ページ 】         

連絡先

公立大学法人福島県立医科大学
医学部附属放射性同位元素研究施設 (R I )
電話024-547-1111(代表)/FAX024-548-3075
Email : ricenter@fmu.ac.jp