- 會田 哲朗 (あいた・てつろう)
- 総合内科・大学院医学研究科 臨床疫学分野 助手・大学院生
- 研究グループ
- 會田哲朗1,2、山藤栄一郎3(*責任著者)、加藤隼悟3、濱口杉大1、栗田宜明2
1. 福島県立医科大学総合内科
2. 福島県立医科大学大学院医学研究科臨床疫学分野
3. 福島県立医科大学総合内科・臨床感染症学講座
概要
論文掲載雑誌:「Emerging Infectious Diseases」(令和5年6月9日)
発疹熱やつつが虫病、日本紅斑熱は節足動物(ノミ、ツツガムシ、マダニ)を介した、リケッチアという細菌による感染症です。日本におけるリケッチア感染症は感染症法第4類に指定されるつつが虫病、日本紅斑熱が主とされており、発疹熱は1950年代までは千葉県だけでなく福島県をはじめ全国で多数報告されていましたが、それ以降は数例の報告に留まっています。発疹熱の症状は、他のリケッチア感染症やウイルス感染症と似ているため、医師が積極的に疑わない限り見逃されてしまいます。今回私たちは発疹熱が見逃されている可能性を考慮し、リケッチア感染症の流行地域である千葉県の住民を対象に血清調査を実施し、リケッチア感染症の起因菌に対する血清抗体保有率とそのリスク因子について調査しました。
本研究では、発疹熱の起因菌であるRickettsia typhiに対する抗体保有率は、11.3% (95%信頼区間 10.0-12.6)、つつが虫病の起因菌であるOrientia tsutsugamushiに対する抗体保有率は7.9%(95%信頼区間 6.9-9.1)、日本紅斑熱の起因菌であるRickettsia japonicaに対する抗体保有率は8.6%(95%信頼区間 7.5-9.8)でした。また、「茂みへの暴露歴」、「人口密度が低い居住環境」が発疹熱の抗体保有のリスク因子でした。つつが虫病や日本紅斑熱の流行地域において、発疹熱の抗体保有率が最も高かったことから、診療現場において見逃されている可能性が高いことが示唆されました。今後、リケッチア感染症の流行地域では発疹熱の可能性も念頭に検査を検討することが重要と考えられます。
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- 論文
https://doi.org/10.3201/eid2907.230037
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