福島県立医科大学 研究成果情報

英国科学誌「Journal of Ovarian Research」掲載(令和5年5月13日オンライン)(2023-07-21)

SPON1は卵巣がんの予後予測マーカーである

SPON1 is an independent prognostic biomarker for ovarian cancer.

小林 信 (こばやし・まこと)
基礎病理学講座  学内講師
        
研究グループ
宮川諒也、小林信、千葉英樹 (基礎病理学講座)

概要

論文掲載雑誌:「Journal of Ovarian Research」掲載(令和5年5月13日)


 卵巣がんは最も予後不良な婦人科がんで、早期診断法や新規治療法が嘱望されています。Spondin-1 (SPON1)は、その遺伝子が卵巣がんで異常高発現を示すことが知られていましたが、ヒトの組織で蛋白質を標識できる特異抗体がありませんでした。今回我々はホルマリン固定標本を染色できる、すなわち実際の病理診断に応用可能なモノクローナル抗体を開発しました。この抗体を用いて卵巣がん患者さんから得られた手術標本を染色し、SPON1の発現量と予後などを比較しました。その結果、SPON1高発現の患者さんの方が、そうでない患者さんと比べて再発リスクが高い、すなわち早い時期に高確率で再発することが判りました。この結果はSPON1が卵巣がんの予後予測マーカーとして有用であることを示しています。現在は細胞株を用いてメカニズムの解明や治療標的としての有用性の検討を行っており、さらにSPON1を標的とする血清診断法の開発も進めています。

 本研究は、2022年に本学医学部を卒業した宮川諒也がMD-PhDプログラムの一環として本学基礎病理学講座で実施したものです。


関連サイト

  • 論文
    https://doi.org/10.1186/s13048-023-01180-8

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