- 高橋 一人 (たかはし・かずと)
- 保健科学部臨床検査学科 講師
- 研究グループ
- 高橋一人1、兼清健志2,3、作田香子2,4、武藤優衣5、井口正6、松田希6、橋本優子7、金井数明6、小川温子4、平瀬肇8、柿田明美9、備前典久10、竹林浩秀10、川口寧5、宇月美和1、北爪しのぶ1,2
1. 福島県立医科大学 保健科学部 臨床検査学科
2. 理化学研究所 システム糖鎖生物学研究グループ
3. 藍野大学 中央研究施設
4. お茶の水女子大学 理学部化学科
5. 東京大学医科学研究所 感染制御分野
6. 福島県立医科大学 脳神経内科学講座
7. 福島県立医科大学 病理病態診断学講座
8. コペンハーゲン大学 Center for Translational Neuromedicine
9. 新潟大学脳研究所 病態神経科学部門
10. 新潟大学大学院 医歯学総合研究科 脳機能形態学分野
概要
論文掲載雑誌:「Journal of Neurochemistry」(令和5年4月2日)
アストロサイトは脳内で最も多く存在するグリア細胞で、脳内の恒常性を維持するために多様な役割を果たします。最近のトランスクリプトーム解析の結果、アストロサイトには多様な種類(サブタイプ)があり、発生や疾患形成の過程でそれぞれが異なる役割を持つことが明らかになってきましたが、これらのサブタイプを識別できるバイオマーカーはありませんでした。本研究チームは、中枢神経系のグリア細胞に高発現する膜タンパク質、PTPRZ(protein tyrosine phosphatase receptor type Z)に着目しました。そして、脳特異的な糖鎖修飾を受けたPTPRZが、代表的な脱髄疾患である多発性硬化症患者や脱髄モデルマウスの脳に出現する活性化アストロサイトに特異的に見出されることを発見しました。
さらに本研究チームは、この糖鎖の本体が脳に特異的なHNK-1抗原が結合するO-結合型マンノース糖鎖(HNK-1-O-Man)であること、このHNK-1-O-Man+ PTPRZを特異的に認識する抗体を使って、活性化アストロサイトを識別できることを見出しました。HNK-1-O-Man+ PTPRZは脳障害モデルマウスで誘導される活性化アストロサイトには見出されないことから、脱髄病態と相関していることも分かってきました。
以前に本研究チームは、分岐型のHNK-1-O-Man 糖鎖が脱髄を進行させる役割があることも明らかにしています。このことから、PTPRZの特有な糖鎖修飾は、脱髄疾患のバイオマーカーとしての活用に加え、脱髄疾患の治療標的としての可能性も期待されます。
詳細及び各お問合せについては、下記のプレスリリースをご覧ください。
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関連サイト
- 論文
https://doi.org/10.1111/jnc.15820
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 保健科学部 臨床検査学科 北爪しのぶ
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