福島県立医科大学 研究成果情報

日本高血圧学会誌「Hypertension Research」掲載(令和4年6月28日オンライン)(2023-06-14)

東日本大震災後の高血圧発症への生活習慣および心理社会的因子の影響:震災後7年間の福島県「県民健康調査」

Impact of lifestyle or psychosocial factors on onset of hypertension after the Great East Japan Earthquake: A 7-year follow-up of the Fukushima Health Management Survey

小針 英理 (こばり・えり)
腎臓高血圧内科学講座 病院助手
        
研究グループ
Eri Kobari, Kenichi Tanaka, Masanori Nagao, Kanako Okazaki, Fumikazu Hayashi, Sakumi Kazama, Tetsuya Ohira, Seiji Yasumura, Michio Shimabukuro, Masaharu Maeda, Akira Sakai, Hirooki Yabe, Mitsuaki Hosoya, Atsushi Takahashi, Mayumi Harigane, Hitoshi Ohto, Kenji Kamiya, Junichiro James Kazama

概要

論文掲載雑誌:「Hypertension Research」(令和4年6月28日)


【背景と目的】

 2011年3月11日に東日本大震災が発生し、さらに東京電力福島第一原子力発電所事故が発生しました。その結果、多くの避難者の生活が大きく変化しました。本研究では、福島県県民健康調査をもとに、震災後7年間という長期の観察期間内で、生活習慣や社会心理的要因のどのような因子が震災後の高血圧新規発症に関連しているかを調査しました。

【方法と結果】

 2011年度に県民健康調査の「健康診査」と「こころの健康度・生活習慣に関する調査」を両方とも受診した13市町村の住民を対象として2011~2018年までの震災後7年間の長期間にわたって追跡し、最終的に10861人の方について高血圧の新規発症と、生活習慣や社会心理的要因、避難などの災害関連要因との関連を推定しました。様々な要素を調整した後、飲酒と肥満が震災後の高血圧の新規発症に有意に関連していることが判明しました(飲酒;調整済みハザード比1.38、95%信頼区間 1.21-1.57、p< 0.001)(肥満;調整済みハザード比1.27、95%信頼区間 1.19-1.37、p<0.001)。また男性においては、避難経験が高血圧新規発症に有意に関連していることが判明しました(調整済みハザード比1.14、95%信頼区間1.02-1.27、p=0.016)。

【結論】

 震災後の7年間という長期間における観察で、飲酒や肥満などの生活習慣は、高血圧の新規発症と有意に関連していることが分かりました。男性においては避難経験も、高血圧の新規発症に有意に関連していることが分かりました。


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