福島県立医科大学 研究成果情報

スイス科学誌「Vaccines」掲載(令和4年11月25日オンライン)(2023-01-20)

Waning of Humoral Immunity and the Influencing Factors after BNT162b2 Vaccination: A Cohort Study with a Latent Growth Curve Model in Fukushima

BNT162b2新型コロナワクチン接種後の液性免疫の減退とその影響因子:福島県における潜在成長曲線モデルによるコホート研究

小橋 友理江 (こばし・ゆりえ)
医学部 放射線健康管理学講座 大学院生
        
研究グループ
小橋友理江、島津勇三、瀧田盛仁、趙天辰、山本知佳、伊東尚美、坪倉正治 (福島県立医大、放射線健康管理学講座)
竹林 由武(福島県立医科大学健康リスクコミュニケーション学講座)
川村猛、金子雄大、中山綾(東京大学)
西川佳孝(ひらた中央病院)

概要

論文掲載雑誌:「Vaccines」(令和4年11月25日オンライン)


 新型コロナウイルスのワクチン接種と、長期的な抗体価の動態を測定することは、新型コロナ感染に対して脆弱な集団を特定するために重要である。この研究の目的は、2回目のワクチン接種後7カ月までのピーク時の抗体価を含む長期的な抗体価の動態とそれに影響する要因との関連を明らかにすることであった。

 2021年に医療従事者を対象に、3回の抗体検査をCLIA法を用いて実施し(2021年の6月(T1) 、9月(T2) 、12月(T3))、液性免疫の変化を検討した。本調査は、2回のワクチン接種を終え、3回の抗体検査を完了し、かつSARS-CoV-2に感染していない205名の医療者を対象とした。ピーク時の抗体力価に影響を与える因子や、抗体の減少の傾きに影響を与える因子を特定するために、潜在成長曲線モデルが使用された。性別と年齢を要因としてモデルに含めた。

 対象者のうち,2回目接種から7カ月後のスパイク蛋白に対する免疫グロブリンG(IgG(S))および中和活性の平均値は各々154.3 AU/mL(ピーク力価の8.8%)、62.1 AU/mL(ピーク力価の9.5%)に低下していた。対数変換したIgG(S)についての潜在成長曲線モデルを用いた解析において,年齢はピーク時の抗体力価に有意に影響したが(p<0.001)、抗体価減少の傾きには有意な影響を与えなかった。

 年齢はピーク時の抗体価に有意に影響を及ぼした。一方で年齢と、対数変換後されたIgG(S)抗体価の減少との関係は、本研究において明らかではなかった。


連絡先

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