福島県立医科大学 研究成果情報

第28回日本排尿機能学会学会賞(令和3年9月受賞)(2021-09-30)

Male LUTS 患者における前立腺質的変化の意義と下部尿路症状発症機序の解明 -遺伝子発現プロファイリング解析による MRI/ADC 値を規定する遺伝子群の同定—

赤井畑 秀則 (あかいはた・ひでのり)
医学部 泌尿器科学講座 講師
        
研究グループ
赤井畑 秀則、夏谷 広樹、粂川 知之、吉岡 駿佑、小名木 彰史、松岡 香菜子、 胡口 智之、秦 淳也、佐藤 雄一、片岡 政雄、小島 祥敬

今回の受賞について

第28回日本排尿機能学会学会賞


日本排尿機能学会とは、昭和48年に神経因性膀胱研究会として発足して以来、32年間に渡り下部尿路(膀胱および尿道)機能障害の問題に取り組んでいる学会です。平成14年度の学術集会から、より広い活動を展開するために学会の名称が日本排尿機能学会と改められました。泌尿器科だけでなく神経内科、産婦人科、リハビリ科、看護学科、生理学、薬理学、薬学などの各領域からエキスパートが参加している学際的な学術団体です。年1回の学術集会の開催が開始され、2021年9月に長野県松本市で第28回日本排尿機能学会が開催されました。

今回の賞について


日本排尿機能学会学会賞は、例年学会賞応募演題から選考されています。第28回日本排尿機能学会にて本研究が学会賞を受賞しました。

受賞概要


男性下部尿路症状患者では患者毎に症状や所見が異なります。もちろん前立腺肥大や膀胱機能は大きな要因ですが、前立腺の質的変化も男性下部尿路症状患者の症状や所見に関与する可能性を考えました。そこで、前立腺質的変化の評価に微細な組織学的変化を描出するMRI/ADC値が適すると判断しました。さらに、前立腺ADC値とその前立腺組織を用いた遺伝子発現プロファイリングの併用が、男性下部尿路症状の前立腺質的変化を介した発症機序解明の一助になると推察しました。今回、ヒト前立腺組織を用いた網羅的遺伝子発現解析からADC値を規定する遺伝子群を特定し、下部尿路症状・機能障害との相関を検討することで、前立腺質的変化による下部尿路症状・機能障害発症機序について考察しました。その結果、ADC値上昇は下部尿路症状・機能障害と関連し、遺伝子発現プロファイリングにてADC高値前立腺では異常免疫応答・腺組織増生・平滑筋収縮力増強が確認されました。前立腺の質的変化は、下部尿路症状・機能障害の発症に大きく関与し、ADC値はその予測因子となりうると考えられました。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 泌尿器科学講座
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