福島県立医科大学 研究成果情報

英国科学誌「Scientific Reports」(令和3年6月15日掲載)(2021-07-27)

CLDN15 is a novel diagnostic marker for malignant pleural mesotheliomas

CLDN15の悪性胸膜中皮腫新規診断マーカーとしての有用性

渡部 晶之(わたなべ・まさゆき)
医学部 呼吸器外科学講座 助手

東 智仁(ひがし・ともひと)
医学部 基礎病理学講座 准教授

        
研究グループ
【呼吸器外科学講座】
Masayuki Watanabe, Hayato Mine, Hironori Takagi, Yuki Ozaki, Satoshi Muto,
Naoyuki Okabe, Yuki Matsumura, Takeo Hasegawa, Yutaka Shio, Hiroyuki Suzuki
渡部晶之, 峯勇人, 高木玄教, 尾崎有紀, 武藤哲史, 岡部直行, 松村勇輝, 長谷川剛生,
塩豊, 鈴木弘行
【基礎病理学講座】
Tomohito Higashi, Kana Ozeki, Atsuko Higashi, Kotaro Sugimoto, Hideki Chiba
東智仁, 大関佳奈, 東淳子, 杉本幸太郎, 千葉英樹

概要

論文掲載雑誌「Scientific Reports」(令和3年6月15日)


悪性胸膜中皮腫は悪性度が高く予後不良な疾患です。種々の悪性腫瘍に類似した多彩な組織像を示すため、診断に難渋することがあります。迅速でより確実な診断を行うためには、複数の診断マーカーによる免疫染色が必要となります。しかし、既存のマーカーは偽陽性や偽陰性を示すことがあり、新たなマーカーの開発が求められております。本研究では、細胞間タイト結合を形成するCLDN(Claudin)ファミリーに着目し、25種類のCLDNをスクリーニングしてCLDN15が中皮細胞に高発現していることを発見しました。CLDN15を選択的に認識するモノクローナル抗体を作製し、CLDN15が悪性胸膜中皮腫の新規診断マーカーとして有用かどうかの検討を行いました。福島県立医科大学で悪性胸膜中皮腫と診断された42例のサンプルのうち、83%がCLDN15に陽性でした。現在、悪性胸膜中皮腫の診断に用いられている陽性マーカー(カルレチニン(81%)、WT-1(50%)、D2-40(81%))と比較しても陽性率は同等以上でした。また、悪性胸膜中皮腫と鑑別診断を要する浸潤性肺腺癌50例のサンプルをCLDN15で免疫染色しましたところ4例のみ陽性であり、特異度は92%と他のマーカー(90-100%)と同程度でした。以上の結果より、CLDN15は悪性胸膜中皮腫診断における新規診断マーカーとして有用であり、臨床現場でも使用できる可能性を示すことができました。

 


連絡先

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