
- 佐治 重衡 (さじ・しげひら)
- 腫瘍内科学講座 主任教授
- 研究グループ
- 研究代表者;Michail Ignatiadis(ベルギー)、Heather McArthur(米国)、佐治重衡(日本) BIG (Breast International Group)を中心とした世界30カ国の臨床試験グループ
概要
論文掲載雑誌:「JAMA」(2025年1月30日)
本臨床試験は、免疫チエックポイント阻害薬アテゾリズマブの早期乳癌における適応拡大を目指した国際共同第III相臨床試験で、医師主導治験として実施された。日本からも当院の患者さんを含め249名の患者さんが参加した試験である。欧・米・アジアから3名の研究代表者が本試験を運営し、佐治がその1人であった。本論文では共同最終著者を務めている。
2018年8月から2022年11月までにステージIIまたはIIIのトリプルネガティブ乳癌(TNBC)に対して手術をおこなった2,199人の患者さんを登録し、標準治療群:術後化学療法単独と、試験治療群:術後化学療法+免疫療法アテゾリズマブを比較した。観察期間中央値32ヶ月における解析で、無浸潤性疾患生存率における試験治療群の優越性は示されず(ハザード比1.11, p=0.38)、有害事象は試験治療群で多かった。これにより、トリプルネガティブ乳癌に対する術後治療としてのアテゾリズマブは予後を改善しないことが確認された。これまでの試験結果から、免疫療法は術前治療においては予後を明らかに改善することから、治療戦略が明確に確定する結果となった。(佐治 重衡)
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 腫瘍内科学講座
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