福島県立医科大学 研究成果情報

英国医学誌「Journal of Radiation Research」掲載(2024年12月16日)(2025-01-15)

Population Shifts During the Reconstruction Period in Areas Marked as Evacuation Zones After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident: A Mobile Spatial Statistics Data-based Time-series Clustering Analysis

福島原発事故後の避難指示区域における復興期の人口移動 -モバイル空間統計データに基づく時系列クラスタリング分析-

阿部 暁樹 (あべ・としき)
放射線健康管理学講座 講座等研究員
        
研究グループ
阿部暁樹, 吉村弘記, 齋藤宏章, 村上道夫, 樋口朝霞, 森山信彰, アミール偉, 伊東尚美, 尾崎章彦, 澤野豊明, 山本知佳
趙天辰, 坪倉正治

概要

論文掲載雑誌:「Journal of Radiation Research」(2024年12月16日)


 医療や社会資源の整備には、人口の正確な把握が不可欠です。しかし、交通網の発達により人口の時間的・空間的変動が大きくなっており、特に災害復旧時の医療需要を正確に予測することは困難であるのが現状です。

 本研究は、福島第一原子力発電所事故(FDNPP)の被災地域における人口移動を人口統計データを用いて明らかにすることを目的としました。対象地域は、FDNPP事故により避難区域となった2市7町3村としました。携帯電話会社(株式会社ドコモインサイトマーケティング)から入手した時間帯別人口の変化を反映した人口推計データを用い、クラスタリング分析を適用して4年間の人口動態を調査しました。

 調査の結果、2019年から2022年にかけて、8つの市区町村で人口が増加し、4つの市区町村で減少しました。また、人口はさらに5つのグループに分類され、各グループの特徴や変動が明らかとなりました。

 結論として、地域間の違いや人口動態の変遷から、復興に向けた課題を把握し、医療計画や社会政策に活用できる可能性が示されました。推計人口データを活用したこの手法は、将来の災害時における医療資源や社会政策の検討にも応用可能であり、地域特性を詳細に分析する上でも有用であると考えられます。(阿部 暁樹)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 放射線健康管理学講座
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