福島県立医科大学 研究成果情報

第13回 2023年度 日本乾癬学会「鳥居・帝國乾癬研究奨励賞」(2023年8月25日受賞)(2024-07-18)

「血清Leucine-rich α2-glycoprotein(LRG)は汎発性膿疱性乾癬の新たなバイオマーカーである」

入江 絹子 (いりえ・きぬこ)
皮膚科学講座 病院助手
        
研究グループ
入江絹子、山本俊幸

今回の受賞について

【日本乾癬学会】


一般社団法人日本乾癬学会は乾癬の病因究明、治療法の開発および全国疫学調査を行い、乾癬に関する医療の向上を目指して結成された学術研究学会です。

【賞について】


若手研究者に対し、乾癬の病態、治療に関する研究の奨励および業績を表彰する賞になります。

概要

今回当科でGPPと診断した患者15名について血清中のLeucine-rich α2-glycoprotein(LRG)濃度を測定した。GPP患者は、男性5名、女性10名で、年齢は21歳-78歳(平均 47.4歳)であり、対照として掌蹠膿疱症(PPP)患者5名(男性1名、女性4名: 35-65歳)と健常人コントロール13名で検討した。活動期のGPP患者におけるLRG値(220.1±144.3μg/ml)は、PPP患者(65.5±17.6μg/ml)および健常人(40.0±10.5μg/ml)と比較して有意に高値であった(P < 0.01)。活動期のGPP患者(220.1±144.3μg/ml)は、非活動期のGPP患者(68.0±15.9μg/ml)と比較してLRG値が有意に高値であった(P < 0.01)。生物学的製剤の治療前後でLRG値を検討しえた4例では、臨床症状の改善と共にLRG値も有意に低下した(149.0±65.6治療前平均 vs 38.6±15.2 治療後平均, P < 0.05)。またLRG値は、CRPと有意に相関していた(R = 0.61, P < 0.01)。以上よりGPP患者における血清LRG値は病勢と関連しており、新たなバイオマーカーとなる可能性が示唆された。(入江絹子)

 


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 皮膚科学講座
電話:大学代表024-547-1111(代)(スパムメール防止のため一部全角表記しています)

FAX:024-548-5412
講座ホームページ:https://www.fmu.ac.jp/home/dermatol/

メールアドレス:kinuko07@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため一部全角表記しています)