福島県立医科大学 研究成果情報

第34回日本臨床精神神経薬理学会 学会奨励賞〔令和6年5月受賞〕(2024-06-17)

lemborexantによるclozapineへの薬物動態学的影響: CYP3A4時間依存性阻害による薬物間相互作用の可能性

渡辺 研弥 (わたなべ・けんや)
福島県立医科大学附属病院 薬剤部 主任薬剤技師兼医学部助手
        
研究グループ
渡辺研弥1、三坂眞元1,2、野崎啓子3、遠藤沙英1、千代田高明3、鈴木悠平3、小林有里3、平田祥一朗3、一瀬瑞絵3、堀越翔4、佐藤亜希子3、須藤孝浩1、下村健寿2、黒田純子1、三浦至3
1福島県立医科大学附属病院薬剤部
2福島県立医科大学医学部病態制御薬理医学講座
3福島県立医科大学医学部神経精神医学講座
4ほりこし心身クリニック 

今回の受賞について

第34回日本臨床精神神経薬理学会


「臨床精神神経薬理学を発展させ、精神科薬物療法を向上させる」ことを目的とした学会で、現在会員数は医師をはじめ1500名を超えています。

賞について


この賞は臨床精神神経薬理学領域の研究奨励を通して、より有効かつ安全な精神科薬物療法を推進し、精神疾患を持った方々のQOL向上に寄与することを目的としたものです。推薦された論文の中から選考委員による順位を付けた投票によって選出されました。

【受賞概要】

クロザピンは、従来の抗精神病薬に十分な治療反応を示さない治療抵抗性統合失調症に対する治療薬として唯一適応を持った抗精神病薬です。その薬効、一部の副作用発現は血中濃度と関連することが知られています。我々の研究チームは、クロザピンの血中濃度がレンボレキサント の併用により著しく上昇した症例を経験しました。この薬物間相互作用機序の解明を目的とし、クロザピン主要代謝酵素のCYP1A2、3A4を介したクロザピン代謝に対するレンボレキサントの阻害活性を検討しました。その結果、レンボレキサントがCYP3A4に対して時間依存性阻害作用を持ち、この相互作用機序がクロザピン血中濃度上昇に寄与している可能性を発見しました。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学附属病院 薬剤部

主任薬剤技師兼医学部助手 渡辺 研弥
電話:(024-547-1406)

FAX:(024-547-1404)