福島県立医科大学 研究成果情報

スイス誌「Frontiers in Public Health」掲載(令和5年11月22日オンライン)(2023-12-21)

Idobata-Nagaya: A Community Housing Solution for Socially Isolated Older Adults Following the Great East Japan Earthquake

井戸端長屋:東日本大震災後、社会的に孤立した高齢者のための共同住宅としての解決策

阿部 暁樹 (あべ・としき)
放射線健康管理学講座 講座等研究員
        
研究グループ
阿部暁樹・齋藤宏章・森山信彰・伊東尚美・瀧田盛仁・木下ゆり・尾崎章彦・西川佳孝・山本知佳・趙天辰・佐藤美佳・坪倉正治

概要

論文掲載雑誌:「Frontiers in Public Health」(令和5年11月22日)


 東日本大震災以降、社会的に孤立した高齢者の生活環境が喫緊の課題となっている。これを受けて、福島県相馬市では、高齢者の社会的孤立に対処し、長期的な健康を支援するための災害公営住宅「相馬井戸端長屋」が設立された。本研究では、震災以降に長屋に入居した住民の特徴を明らかにし、この取り組みの持続可能性を検討することを目的とした。長屋に移転した住民の特徴、長屋での滞在の継続性、介護認定レベルに重点を置いた後ろ向き分析を行った。Kaplan-Meier曲線を用いて、長屋への居住継続期間と要介護認定までの期間を分析した。
 2022年12月31日時点で、震災後に長屋に移り住んだ65人のうち、30人(46.2%)が住み続け、21人(32.3%)が入居中に死亡し、14人(21.5%)が転居していた。全体の入居期間は平均6.39年(SD3.83年)で、入居後の1人年あたりの要介護認定発生割合は、入居時要介護認定なしが0.0577/1人年、要支援認定ありは0.3358/1人年であった。長屋のような共同住宅のあり方は、災害後に多様なニーズを持つ高齢者に適した住環境を提供し、高齢化社会における公共政策を立案するための貴重なツールとなる可能性がある。

(阿部 暁樹)


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