- 義久 精臣 (よしひさ・あきおみ)
- 医学部 循環器内科学講座 特任教授
- 研究グループ
- 義久 精臣1、渡邊 孝一郎1、佐藤 悠1、石橋伸治2、松田美津子2、山寺幸雄2、一條 靖洋1、横川 哲朗1、三阪 智史1、及川 雅啓1、小林 淳1、竹石 恭知1 (1 循環器内科学講座、2 検査部)
概要
論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(令和2年12月17日)
心不全ではうっ血や低灌流により多臓器障害を来たす。しかし、心不全における腎臓の血行動態と腎障害および予後に関する検討は十分に行われていない。また、日常臨床において評価可能な客観的な腎血行動態指標はない。
本研究では腹部エコーを用いて、腎臓のうっ血(腎静脈血流パターンintrarenal Doppler venous flow pattern, IRVF pattern)と低灌流(interlobar renal artery velocity time integral, VTI)を評価し、血液および尿検査における腎機能指標や右心カテーテルによる血行動態指標との関係について検討した。さらに、IRVF patternやVTIと退院後の予後について検討した。
当院循環器内科に入院した心不全患者(n=341)を対象に腹部エコーを実施した。単峰性のIRVF patternを呈する群(n=36)は非単峰性群(n=305)と比して、右房圧が高値であり(P=0.03)、推定糸球体濾過量は低値(P=0.04)であった。また、低VTI群(n=103)は高VTI群(n=231)と比して、心係数は低値(P=0.04)であり、尿細管障害マーカーである尿中NAGが高値(P=0.02)であった。IRVF patternは右房面積や下大静脈径など右心系容量負荷所見と、VTIは左室駆出率と関連した。さらに、単峰性のIRVF pattern (腎うっ血)および低VTI(腎低灌流)を呈した群では心不全増悪を高率に認めた。
心不全患者の腎機能障害の病態評価と管理における腹部エコーの有用性が示唆された。
連絡先
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