福島県立医科大学 研究成果情報

学会誌「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」掲載(2021年3月20日online掲載)(2021-04-23)

Opposing responses of the calcium channel blocker nicardipine to vascular stiffness in the elastic and muscular arteries in rabbits

カルシウム拮抗薬ニカルジピン投与に対するウサギ弾性動脈と筋性動脈の硬さは相反的応答を示す

堀越 裕子 (ほりこし・ゆうこ)
保健科学部 臨床検査学科 助教
        
研究グループ
福島県立医科大学
  保健科学部 臨床検査学科 堀越 裕子
  医学部 細胞統合生理学講座 勝田 新一郎、挾間 章博
  医学部 臨床検査医学講座 志村 浩己
由利組合総合病院 藤倉 佑光
諏訪マタニティークリニック附属清水宇宙生理学研究所 清水 強
誠仁会みはま病院 白井 厚治

概要

論文掲載雑誌:「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」(2021年3月20日online掲載)


動脈壁の硬さを正確に計測することは動脈硬化などの診断に非常に重要である。心臓-足首血管指数(CAVI)は血圧に依存しない血管壁の硬さの指標として開発され、近年国内外の医療機関で普及しつつある。しかしながら、CAVIは心臓から前(後)脛骨動脈までの弾性動脈と筋性動脈を含む血管全体の硬さを反映する。循環系において、弾性動脈と筋性動脈は微細構築やその機能が異なるので、降圧薬に対してどのように応答するかは明らかではない。

本研究では、CAVI理論を弾性動脈と筋性動脈に適用することにより新しい血管の硬さの指標Betaを求めた。カルシウムチャンネル遮断薬であるニカルジピン投与に対する弾性動脈および筋性動脈の応答についてBetaを指標に解析し、循環動態における両動脈の役割を検討した。

その結果、ニカルジピン投与による血圧下降に対し、弾性動脈と筋性動脈は相反する応答を示すことが明らかになり、両者間でのクロストークの存在が示唆された。このメカニズムは今後解明されなければならないが、弾性動脈には血圧低下に関わらず、Caイオンの流入が関与しない未知の血管収縮メカニズムの存在が示唆された。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 保健科学部 臨床検査学科 堀越 裕子
電話:024-581-5509

FAX:024-581-5529
講座ホームページ:https://fmu-hs.jp/clinical.html

メールアドレス:ykokubun@fmu.ac.jp(スパムメール防止のため、一部全角表記しています)