福島県立医科大学 研究成果情報

英国雑誌「Scientific Reports」掲載(11, Article number: 3830 (2021))(2021-03-15)

Reflected wave intensity increases based on aortic diameter after endovascular aortic therapy in a goat model

ヤギ実験モデルにおいてステントグラフト治療後の反射波は血管径に応じて増加する

高野 智弘(たかの・ともひろ)
医学部 心臓血管外科学講座 専攻医

高野 真澄(たかの・ますみ)
医学部 心臓血管外科/疫学講座 併任講師

        
研究グループ
心臓血管外科学講座: 高野智弘、高野真澄、五十嵐崇、横山斉
東北大学加齢医学研究所心臓病電子医学分野: 坪子侑佑、白石泰之、山家智之

概要

論文掲載雑誌:「Scientific Reports」(11, Article number: 3830 (2021))


本論文は、本学心臓血管外科学講座および東北大学加齢医学研究所の共同研究の成果です。

主に動脈硬化の進展により生じる大動脈瘤に対する治療は、以前は心臓停止が必要な人工血管置換術が主流でしたが、特に高齢者ではより侵襲性の低いステントグラフト治療が推奨されるようになってきました。一方、脈波を用いた検討により、加齢に伴い大動脈内反射波が増大することが分かっていますが、大動脈ステントグラフト治療後にこの反射波が増大し、遠隔期に心機能に悪影響を及ぼしている可能性が指摘されています。

本研究では、ヤギモデルにおいてステントグラフト治療を行い、術後反射波が増大していることを観察し、ステントグラフト留置部位の大動脈径が小さいほど反射波が増大することを明らかにしました。

本研究の成果は、反射波の増大が大動脈径に関連していることを示した世界で初めての報告であり、反射波増大のメカニズムの解明及び新規治療機器の開発につながる可能性があります。高齢化社会において益々増加が予想される大動脈瘤患者にとって、多大な恩恵を与えうる研究成果であると考えています。


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 心臓血管外科学講座
電話:心臓血管外科医局 024-547-1281

FAX:心臓血管外科医局 024-547-3926

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