福島県立医科大学 研究成果情報

米国雑誌「Gynecologic Oncology」掲載(2020年11月号)(2020-12-08)

Mutation profiling of uterine cervical cancer patients treated with definitive radiotherapy

子宮頸癌の遺伝子変異プロファイリングと根治的放射線治療患者における予後との関連

吉本 由哉 (よしもと・ゆうや)
医学部 放射線腫瘍学講座 講師
        
研究グループ
吉本由哉、佐々木泰史、村田和俊、野田真永、宮坂勇平、濱本純子、古谷未央、平戸純子、鈴木義行、大野達也、時野隆至、尾池貴洋、中野隆史(本研究は、群馬大学、札幌医科大学との共同研究です)

概要

論文掲載雑誌:「Gynecologic Oncology」(2020年11月号)


 子宮頸癌は、日本全国では年間約10,000人の女性が診断され、3,000人が死亡する疾患です。子宮頸癌と診断される人は20歳代後半から増加し30歳代後半でピークとなります。また近年、患者数も死亡率も増加しています。

 子宮頸癌の原因としてヒトパピローマウイルス(HPV)感染が知られていますが、その後発癌に至るまでの遺伝子変異については不明な点も多く、本研究では子宮頸癌の遺伝子変異と治療反応性について検討しました。

 子宮頸癌に対する根治的放射線治療を受けた98名の患者を対象として、409のがん関連遺伝子の変異を解析しました。また遺伝子変異と治療反応性、予後との相関を検討しました。遺伝子変異は、PIK3CA(35.7%)、ARID1A (25.5%)、FBXW7(19.4%)、TP53(13.3%)などに認めました。また、FGF受容体ファミリーに変異を有する患者群(n=24)ではそうでない患者群(n=74)と比較して、5年無再発生存割合が有意に低いことを見出しました(43.9% vs. 68.5%、P = 0.010)。

 本研究は、子宮頸癌の根治的放射線治療患者を対象とした網羅的遺伝子解析としては世界初の報告となります。また、日本人の子宮頸癌患者を対象とした初の網羅的遺伝子解析の報告となり、がん遺伝子パネル検査などで子宮頸癌の遺伝子変異検索が行われた場合、変異と治療反応性についての重要な参考情報になると考えられます。

 本研究は「先進ゲノム支援(PAGS、JSPS科研費16H06279)」、JSPS科研費基盤研究(C)17K10469、文部科学省博士課程教育リーディングプログラム(F02、群馬大学)の支援を受けています。


連絡先

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