
- 義久 精臣 (よしひさ・あきおみ)
- 医学部 循環器内科学講座、心臓病先進治療学講座 教授
- 研究グループ
- 義久 精臣1、石橋伸治2、松田美津子2、山寺幸雄2、一條 靖洋1、佐藤 悠1、横川 哲朗1、三阪 智史1、及川 雅啓1、小林 淳1、八巻 尚洋1、国井 浩行1、竹石 恭知1 (1循環器内科学講座、2検査部)
概要
論文掲載雑誌:「Journal of the American Heart Association」(2020年10月)
心不全ではうっ血や低灌流により多臓器障害を来たす。しかし、心不全における肝臓の血行動態と肝障害および予後に関する検討は十分に行われていない。また、日常臨床において評価可能な客観的な肝血行動態指標はない。
本研究では腹部エコーを用いて、肝臓のうっ血(shear wave elastography, SWE)と低灌流(celiac peak systolic velocity, celiac-PSV)を評価し、血液検査における肝機能指標や右心カテーテルによる血行動態指標との関係について検討した。さらに、SWEやceliac-PSVと退院後の予後について検討した。
当院循環器内科に入院した心不全患者(n=350)を対象に腹部エコーを実施した。右房圧はSWE(R=0.343, P<0.001)および肝臓の線維化マーカーであるtype 4 collagen 7S (R=0.231, P=0.002)と、心係数はceliac-PSV (R=0.291, P<0.001)および蛋白合成マーカーであるcholine esterase (R=0.271, P<0.001)と有意な相関を認めた。SWEは右房面積や下大静脈径など右心系容量負荷所見と、celiac-PSVは左室駆出率と関連した。さらに、高SWE(肝うっ血)および低celiac-PSV(肝低灌流)を呈した群では心不全増悪を高率に認めた。
心不全患者の肝機能障害の病態評価と管理における腹部エコーの有用性が示唆された。
連絡先
公立大学法人福島県立医科大学 医学部 循環器内科学講座 義久精臣
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