Cardio-Ankle Vascular Indexは心不全患者の脳卒中を予測する

概要

論文掲載雑誌：「Journal of Atherosclerosis and Thrombosis」（2020年10月）

　動脈硬化は脳血管疾患発症の主要な原因です。近年、動脈壁の硬さ（arterial stiffness）を評価するための指標としてcardio-ankle vascular index (CAVI)が注目されています。冠動脈疾患や脳血管疾患の発症とCAVIの関連が報告されていますが、心不全患者におけるCAVIの臨床的有用性は明らかではありませんでした。本研究では、心不全患者における脳卒中発症予測におけるCAVIの有用性に関して検討を行いました。

　CAVIを測定した心不全入院患者557名を対象といたしました。Receiver operating characteristic curve解析では退院後の脳卒中発症に関するCAVIのカットオフ値は9.64でした。CAVI高値(CAVI≧9.64)群は、CAVI低値群と比して、高齢で男性の比率が高く、冠動脈疾患と糖尿病の合併が高率でした。一方、高血圧や脂質異常症の合併頻度や心機能（左室駆出率）には2群間で差を認めませんでした。Kaplan-Meier 解析では、CAVI高値群では退院後の脳卒中発生が有意に高率でした。多変量Cox比例ハザード解析では、CAVIは退院後の脳卒中発症に関する独立した予測因子でした（ハザード比 3.599）。

　CAVIは心不全患者の脳卒中発生予測に有用であることが示唆されました。