- 照井 稔宏 (てるい・としひろ)
- 総合科学教育研究センター(大学院医学研究科国際地域保健学) 大学院生
- 研究グループ
- 照井稔宏(福島県立医科大学総合科学教育研究センター(大学院医学研究科国際地域保健学)) 吉田和樹(医療創生大学) 佐々木美恵(埼玉学園大学) 村上道夫(福島県立医科大学医学部健康リスクコミュニケーション学講座) 後藤あや(福島県立医科大学総合科学教育研究センター)
概要
論文掲載雑誌:「Journal of Epidemiology」(2020年8月オンライン)
父親の育児は、子どもの成長や夫婦関係の質など家族に関する多くの要因に関わっており、近年その重要性が注目されています。父親の育児の評価方法について議論がなされていますが、疫学研究によるエビデンスの蓄積はまだ充分とは言えません。今回の研究では、「父親が認識する自分の育児」と「母親が認識する父親からのサポート」との一致と不一致を明らかにし、父親の育児・家事時間との関連や家族背景との関連を調べました。福島市の4カ月児健診を受診した児の両親を対象とした横断研究です。
対象となった夫婦を「父親の認識あり/母親の認識あり」(ポジティブな一致: 83.9%)、「父親の認識あり/母親の認識なし」(不一致: 8.4%)、「父親の認識なし/母親の認識あり」(不一致: 5.1%)、「父親の認識なし/母親の認識なし」(ネガティブな一致: 2.6%)の4つの群に分けました。「ポジティブな一致」の夫婦と比べて、その他の3群それぞれの夫婦における父親の家事・育児時間は短いことが示されました。ロジスティック回帰分析の結果「ポジティブな一致」と比べ、認識の不一致やネガティブな一致を示した背景要因には、両親の精神的健康度や母親の妊娠時の気持ち、そして父親の結婚生活の満足度がありました。
これらの結果は、育児支援に際して母親だけでなく両親のメンタルヘルスの状況把握が重要であることを示しています。周産期ケアや乳幼児健診などの受診の多くが母親のみである本邦において、父親も母親同様に育児の主体者として捉えた支援が重要です。
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