福島県立医科大学 研究成果情報

日本アンドロロジ一学会第38回学術大会学会賞(令和元年6月受賞)(2019-07-22)

46, XY 先天性副腎リポイド過形成症:精巣内テストステロン合成に 着目した病態の考察

松岡 香菜子 (まつおか・かなこ)
医学部 泌尿器科学講座 助手
        
研究グループ
松岡香菜子、佐藤雄一 、小名木彰史、 丹治亮、本田瑠璃子、星誠二、 胡口智之、赤井畑秀則、片岡雅雄、小川総一郎、羽賀宣博、小島祥敬

今回の受賞について

日本アンドロロジー学会第38回学術大会


日本アンドロロジー学会は、アンドロロジー学(男性学、雄性学)に関する研究者の交流のために昭和49年にアンドロロジー研究会として設立され、その後毎年学術大会が開催されています。アンドロロジーに関する基礎分野(生物学、生化学、獣医学、薬学など)から臨床分野(泌尿器科、産婦人科、内科など)まで幅広い領域についての学術活動が行われています。昭和57年に日本アンドロロジー学会と名称を変更し、令和元年6月に大阪にて日本アンドロロジー学会第38回学術大会が開催されました。

今回の賞について


第20回学術総会より日本アンドロロジ一学会学会賞が設けられ、例年学会賞応募演題から学会賞が選考されています。第38回学術大会にて本演題が学会賞を受賞しました。

概要


先天性副腎リポイド過形成症は、先天性副腎過形成症の一型で極めて稀な疾患です。ステロイド合成開始に重要な蛋白の異常によって、全てのステロイドホルモン合成が障害され、重篤な副腎不全と性分化疾患が発症することが知られています。しかし、詳細な病態生理につ いてはほとんど明らかでありません。我々は46,XYの先天性副腎リポイド過形成症におけ る精巣内のステロイド合成に関与する複数の酵素や転写因子を組織学的・分子生物学的に 検討しました。
先天性副腎リポイド過形成症の精巣では、テストステロン合成を行うライディヒ細胞は脂肪滴が細胞質内に充満し、異常な形態を示します。しかし、今回の検討では、テストステロ ン合成に関与する複数の酵素・転写因子はライディヒ細胞内で保たれていることが明らか となりました。また、発現していない酵素の種類から、先天性副腎リポイド過形成症におけ るライディヒ細胞では、出生後に消失するはずの胎児型ライディヒ細胞が残存している可能性が示唆されました。

 


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