福島県立医科大学 研究成果情報

日本リウマチ学会誌「Modern Rheumatology」掲載(平成30年10月号)(2018-11-19)

HLA-DQB1 DPB1 alleles in Japanese patients with Adult-onset Still's disease

日本人における成人発症スチル病患者のHLA-DQB1 DPB1アリル

藤田 雄也 (ふじた・ゆうや)
医学部 リウマチ膠原病内科学講座 大学院生
        
研究グループ
Yuya Fujita, Hiroshi Furukawa, Tomoyuki Asano, Shuzo Sato, Makiko Yashiro, Hiroko Kobayashi, Hiroshi Watanabe, Eiji Suzuki, Tomohiro Koga, Toshimasa Shimizu, Yukitaka Ueki, Katsumi Eguchi, Naoyuki Tsuchiya, Atsushi Kawakami & Kiyoshi Migita

概要

論文掲載雑誌:日本リウマチ学会誌「Modern Rheumatology」(平成30年10月号)


HLA class Ⅱはリウマチ性疾患の遺伝的な予測因子として注目されており、複数のリウマチ性疾患において発症や病型と関与していることが近年になり明らかになってきています。成人発症スチル病についても、これまでの報告でいくつかのアリルがAOSDの発症や病型に関与しているとされていましたが、日本人においての報告は少なく、民族的な差異についてはわかっていません。我々は、日本人のAOSD患者87名において、HLA class Ⅱの中でもHLA-DQB1 アリルとHLA-DPB1 アリルが、疾患感受性や病型にどのように関与しているかを健常人413人と比較しました。

その結果、HLA-DQB1*06:02 (Pc = 0.010, odds ratio: 2.54)と有意に発症と関連していた一方、HLA-DPB1 アリルについては発症とは関連がありませんでした。また、ハプロタイプではDRB1*15:01DQB1*06:02が有意に発症と関連していました。

これらの結果によりHLA-DQB1 アリルはAOSDの発症と関連しており、また HLA-DQB1 アリルとHLA-DRB1アリルの遺伝子型の組み合わせがAOSD発症と関連している可能性が明らかになりました。AOSDは自己炎症(自然免疫)が主な病態と考えられていますが、本研究成果からも自己免疫(獲得免疫)が発症に関与していることが示唆されました。


連絡先

 公立大学法人福島県立医科大学 医学部 リウマチ膠原病内科学講座
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