福島県立医科大学 研究成果情報

第67回日本医学検査学会 日臨技学術奨励賞「特別奨励賞」(平成30年5月受賞)(2018-06-04)

GBSスクリーニング検査における新規GBS増菌培地の有用性の検討

丹野 大樹 (たんの・だいき)
附属病院検査部 副主任医療技師
        
研究グループ
丹野大樹、今井美菜子、本田睦子、木村朋子、高野由喜子、大橋一孝、大花昇

今回の受賞について

第67回日本医学検査学会


 日本医学検査学会は、臨床化学検査学、血液検査学、微生物検査学、生理機能検査学、病理検査学、輸血検査学、遺伝子検査学など臨床検査領域を専門とする学会です。臨床、研究、教育など様々な分野で活躍する臨床検査技師が毎年一同に会する国内最大の学会となっています。

 

賞について


 日臨技学術奨励賞「特別奨励賞」は、日本医学検査学会で発表された優秀な演題に対し授与される栄誉ある表彰です。平成29年度に開催された「第66回日本医学検査学会」にて丹野大樹臨床検査技師らの研究グループが発表した演題について、独創的で発展性があることが認められたとして日本臨床衛生検査技師会から授与されました。本年度は全国で2名のみ表彰されています。

概要

 Streptococcus agalactiae (Group B Streptococcus: GBS)は、10~30%の妊婦膣・便中から検出され母子垂直感染により新生児に敗血症や髄膜炎などの重症GBS感染症を引き起こすことが知られています。日本産科婦人科学会ガイドラインによると、分娩時の抗菌薬予防投与を実施しない場合の死亡率は14.9%、後遺症残存率5.7%とされており、その対策としてGBSスクリーニング検査の実施と感染妊婦に対する抗菌薬予防投与が重要とされています。

 本研究では、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)のガイドラインで推奨されている増菌培養法に着目し、色調変化によりGBSの有無を推定できる新規GBS増菌培地の有用性の評価を行いました。その結果、新規GBS増菌培地は従来法に比べ高感度にGBSを検出可能であること、さらには陰性的中率が100%と感染否定においても極めて有用であることを明らかにしました。その一方で、本培地は常在菌の発育による偽陽性反応が少なからず認められることから、サブカルチャー等による確認試験の併用が必要不可欠であることも併せて報告しています。

 本研究成果は新生児GBS感染症の予防戦略において極めて重要な知見と考えられ、今後の発展性が高く評価されました。

    

 


関連サイト

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