福島県立医科大学 研究成果情報

米国科学誌「Oncotarget」 掲載〔平成30年1月〕(2018-01-19)

Gene aberration profile of tumors of adolescent and young adult Females

AYA世代女性がんの遺伝子異常プロファイル

菅家 康之 (かんけ・やすゆき)
消化管外科学講座 大学院生
        
研究グループ
菅家康之、下村昭彦、齋藤元伸、本多隆行、白石航也、島田陽子、渡邊麗子、吉田 裕、吉田正行、清水千佳子、高橋一彰、戸塚裕彦、萩原秀明、廣瀬 宗、河野浩二、田村研治、岡本愛光、木下貴之、加藤友康、河野隆志

概要

論文掲載雑誌:「Oncotarget」Vol. 9, (No. 5)  (2018 Jan. 19)

近年、がんに対する治療成果は発展し続けている一方で、若年発症例(AYA世代)の予後の改善は未だ乏しいのが現状です。若年発症の原因や治療標的となりうる遺伝子変異の特定は重要な課題です。
我々は国立がん研究センターと共同で若年発症の76名(乳がん;48名、卵巣がん;22名、子宮がん;6名)の遺伝子情報(生殖細胞系列変異、体細胞変異)を次世代シークエンサー(全エクソンシークエンス、RNAシークエンス)を用いて解析しました。
その結果、乳がん、卵巣がん、子宮がんのAYA世代発症例は大部分で非AYA世代と似た特徴を示しました。今後、分子標的薬やがん免疫療法の研究成果が非AYA世代と同様にAYA世代においても期待できると示唆されました。また、より大規模な集団を対象に研究を行うことにより、より詳細な若年発症病因の解明が期待されます。

〔用語解説〕
AYA世代:15歳から39歳までに当たる世代。Adolescents and Young Adults
生殖細胞系列変異:生殖細胞(精子や卵細胞)に起こる遺伝子変異。次世代に受け継がれる可能性がある変異
体細胞系列変異:生殖細胞系列変異以外の体細胞に起こる変異。ひとつひとつの細胞のDNAで起こる変異。次世代に影響を及ぼさない
次世代シークエンサー:ヒトゲノムを低コストで解析するために開発された。従来の方法に比べ、高速高精度の性能をもつシークエンサー。

(菅家康之)


連絡先

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