福島県立医科大学 研究成果情報

英国科学誌「Scientific Reports」 掲載〔平成30年1月 オンライン〕(2018-01-10)

Evaluation of Brain Activity Using Near-infrared Spectroscopy
in Inflammatory Bowel Disease Patients

NIRSを用いた炎症性腸疾患患者の脳活動性評価

藤原 達雄 (ふじわら・たつお)
医学部 消化器内科学講座 助手
        
研究グループ
藤原達雄、河野創一、片倉響子、郡司直彦、横川綾希、川島一公、鈴木理枝子、和田 明、三浦 至、矢部博興、大平弘正

概要

論文掲載雑誌: 「Scientific Reports 」(2018.Jan.10 online) 本学神経精神医学講座では、精神疾患の鑑別法として近赤外光を利用した脳機能測定装置(近赤外線スペクトロスコピー;NIRS)が導入されている。消化器内科学講座では、これまでNIRSを用いた共同研究を神経精神医学講座と行っており、C型慢性肝炎や非アルコール性脂肪性肝疾患患者の脳機能評価と病態や治療との関連について報告してきた。 (Hepatology Research 2014; 44: 319、326、PLOS ONE 2017; 12:e0174169) 炎症性腸疾患においても発症や増悪・再燃に心因的要因の関与が指摘されており、今回、潰瘍性大腸炎(UC)、クローン病(CD)についてNIRS、うつ質問票(CES-Dスコア)、脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor: BDNF)を測定し、脳機能状態との関連について検討した。NIRSでは、UCにおいて健常人と比べ有意に脳血流が低下していたが、CDでは脳血流は低下していなかった。なお、UCでの脳血流低下は疾患活動性と関連を認めなかった。また、CES-Dスコア、BDNFともにUC、CDでは有意差を認めなかった。 UCとCDは炎症性腸疾患として一括りにされることもあるが、今回の結果から脳活動性には両者に違いがあり、根本的な疾患の差異を反映している可能性が示された。今後、これら研究成果が炎症性腸疾患と心因的要因との関連を紐解く一助になることが期待される。

(藤原達雄)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 消化器内科学講座 助手 藤原 達雄
電話 024-547-1202 / FAX 024-547-2055
講座ホームページ http://www.intmed2.fmu.ac.jp
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