福島県立医科大学 研究成果情報

カナダ科学誌「Canadian Journal of Cardiology」 掲載〔平成30年1月〕(2018-01-01)

Subclinical Hypothyroidism is Associated with Adverse Prognosis in Heart Failure Patients

潜在性甲状腺機能低下症は心不全患者の不良な予後と関連している

佐藤 悠 (さとう・ゆう)
医学部 循環器内科学講座 専攻医
        
研究グループ
佐藤 悠、義久精臣、君島勇輔、喜古崇畳、渡遁俊介、菅野優紀、阿部諭史、巽 真希子、佐藤崇匡、鈴木聡、及川雅啓、小林 淳、八巻尚洋、国井浩行、中里和彦、石田隆史、竹石恭知

概要

論文掲載雑誌: 「Canadian Journal of Cardiology 」(2018.Jan.1 )

顕性の甲状腺機能充進症および低下症は心不全の原因となりうる。近年、潜在性の甲状腺機能低下症が動脈硬化、心不全発症や心血管死と関連があると報告されている。 我々は、心不全患者における潜在性甲状腺機能低下症と血行動態、運動耐容能および予後の関係について検討した。連続1,100名の心不全患者において、血中の甲状腺刺激ホノレモンと遊離サイロキシン濃度を測定し、5群(甲状腺機能正常、潜在性甲状腺機能低下症、潜在性甲状腺機能允進症、顕性甲状腺機能低下症、顕性甲状腺機能充進症)に分類し、甲状腺機能正常群と潜在性甲状腺機能低下症群の2群について比較検討した。 2群聞において左室駆出率に差を認めなかったが、潜在性甲状腺機能低下症群において、右心カテーテル検査における平均肺動脈圧は高値であり、心肺運動負荷テストにおける最高酸素摂取量(運動耐容能)が低値であった。カプランマイヤー解析では、心イベント発生率および総死亡率は潜在性甲状腺機能低下症群において有意に高値であった。コックス比例ハザード解析では、潜在性甲状腺機能低下症は心不全患者における心イベントおよび総死亡に関する独立した予測因子であった。 潜在性甲状腺機能低下症は心不全患者において、肺動脈圧高値、運動耐容能低下および予後不良と関連している。

(佐藤 悠)


連絡先

公立大学法人福島県立医科大学 医学部 循環器内科学講座 特任教授 義久精臣
電話 024-547-1190 / FAX 024-548-1821
講座ホームページ http://www.fmu.ac.jp/home/int-med1/intmed1main.htm
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